元気堂の漢方薬通信
VOL.96 生理痛~その4~
23歳の女性。
「月経の前半に、下腹が絞られるような激しい痛みを生じる。初日が特にひどい。寒さや冷えで痛みが悪化し、温めると軽減する。月経周期は31日前後で安定。月経前に乳房が脹って痛い。手足が冷えて寒がり。冬にはシモヤケができやすい。髪に潤いが無く、唇が荒れやすい。」とのお話。
『陽虚証』と『血虚証』を兼ねていると考え、「温経湯」と「安中散」を服用していただきました。
2ヶ月ほどで生理痛をほとんど感じなくなり、顔色も良く元気そうです。 生理痛は、漢方では、「経行腹痛」「痛経」等ともいい、比較的、漢方薬がよく使われている疾患の一つですが、きちんと効果を上げるためには、「生理痛には、○○湯。」ではなく、他の疾患同様、本来の漢方の使い方をする事が大切です。
痛みの状態、時期(生理前、生理前半、生理後半など)、悪化条件、好転条件などを中心に、月経の周期などや全身の体質などから、病証のパターンに分類し、治療方針を定め、更に適した処方を決定していく事が必須となります。
病証のパターンは、血の流れが悪いことによる『血瘀証』、辛い物やお酒の摂りすぎによる『実熱証』、反対に冷たい物の摂りすぎや身体を冷やしたことによる『実寒証』、過労などが原因になっている『気虚証』、血液の不足がまねく『血虚証』、ストレスが痛みを引き起こす『肝気鬱結証』等々、多種にわたります。
冷蔵庫や冷房のため、一年中身体を冷やしている方が多く見られます。健康に良いと思って食べている玄米なども身体を冷やしますので、時には注意が必要です。