元気堂の漢方薬通信
漢方薬通信VOL.226 ニキビと治病求本
漢方では、基本的に「○○に効く薬」というものはありません。それは、漢方治療の基本原則に「治病求本」という考え方があるからです。「治病求本」とは疾病の根本原因を追求し、病気の本質を見極めて治療を行うことです。
ニキビを例にとってみると、すべての人のニキビに効く薬は無く、ニキビの部位、大きさ、色、形などの患部の状態はもちろん、悪化条件、好転条件、随伴症状などから、ニキビの発生原因を漢方的に追求し、その本質から、「風熱」「脾胃湿熱」「肝胆湿熱」「実寒」「肝気鬱結」「痰凝」「瘀血」「脾気虚」「陽虚」「陰虚」「陰虚火旺」「気血両虚」等々のパターンに分類し、更に症状、体質を分析して、治療方法や漢方処方を決定します。また、複数のパターンが混在していることもあります。患者さんが十人いれば十通り、百人いれば百通りなのです。
「Aさん女性。額と顎、口の周りに淡紅色の丘疹。月経前と脂っこい物や乳製品の摂取で悪化しやすい。手足が冷えやすく、お腹が張ることが多い。眠りがやや浅く目が覚めやすい。やや軟便傾向。」とのことでした。
肝気鬱結と湿盛、食滞を兼ねていると判断し、逍遙散と加味平胃散を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。一ヶ月ほどで、ニキビは減少し、胃腸の調子も良好になり、半年ほどで、ニキビは発症しなくなりました。
「治病求本」は、あらゆる疾患における漢方治療の重要な原則です。正しく判断して漢方薬を服用することが大切になります。