漢方薬通信VOL.225 月経の状態が一定しない方
不妊の漢方相談では、月経の状態を詳しくお聞きしますが、月経痛や月経の状態が、周期ごとにバラバラで一定しないという方もいらっしゃいます。
「38才のAさん、結婚して4年。月経周期は25~28日、月経期間は5日間で、そのうち多い日は3日間。経血の量はふつうだが、少ない月もある。血塊が混ざることがあるが毎月ではない。月経痛が気にならない月もあるが、痛みが激しい月もあり、痛む時は拍動痛で、冷えで悪化し、鎮痛剤が欠かせない。また、月経前の胸の張りが強かったり、月経の始まり方がスムーズでない月があったりするが、月経の状態が周期ごとに一定しない。最近、コンディションの悪い周期が多いような気がする。」とのことでした。起こる症状が、周期ごとにバラバラで一定しないので、お仕事での体調管理にもご苦労されているようです。さらに詳しくお聞きすると、任されるお仕事が増えていて、ストレスが大きいと、その後の月経前、月経期の不調が起こっているようでした。
これを漢方的にみると、「ストレスにより、肝の疎泄が失調し、そのために経前乳脹が起こったり、月経がスムーズに始まらなかったり、経血の量が少なくなったりする。そして、冷えや気滞のために血瘀を生じることがあり、月経痛が起こるときは、血塊が混ざり、拍動痛となる。」と考えました。そこで、疏肝解鬱のために、月経期以外には逍遙散を、月経期には活血の働きもある芎帰調血飲第一加減を服用していただき、腎精を補うために瓊玉膏も併用しました。服用開始から半年ほどで、激しい月経痛はなくなり、体調も良好。その後、月経に伴う不調は、ほぼ無くなり、お仕事も妊活も、ご自分のペースで頑張れていて楽しそうです。
疏泄失調には、疏泄不及と疏泄大過があります。不足したり行き過ぎたり、不調が起こったり起こらなかったりして、症状が一定しないことがあるのです。
一見、バラバラに見えるいろいろなことも、漢方的な考え方で、チェックしてみると、関連性がみつかることがあります。不妊の漢方相談では、月経の状態や体質などをよく見極めて、その方に合った漢方薬をセレクトすることが大切です。お身体に合った漢方薬で、妊娠しやすいコンディションに近づけていきましょう。