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元気堂の漢方薬通信
  • 膀胱炎

VOL.34 膀胱炎

梅雨入りして、数日後のある日、20代半ばの女性が来店されました。
「すみません、猪苓湯下さい。」これは膀胱炎かなと思いながら、いくつか症状をお聞きすると、「以前から膀胱炎になりやすく、他の薬局で『膀胱炎には猪苓湯だよ。』と奨められ二週間ほど飲んでみたがあまり良くならない。」との事。

症状としては「下腹部に不快感があり、軽度の排尿痛がある。小便は回数が多いが、量が少ない。小便の色は、淡黄か無色透明。下半身が重だるく、冷えると悪化する。」猪苓湯の使用目標の「血尿」も「小便黄赤」も「喉の渇き」もまるで無い。まして「冷えると悪化する」ので、熱を冷ます猪苓湯は、使えない。今の膀胱炎の状態を説明し、納得して頂いた上で、この方には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を服用して頂きました。

婦人薬として有名な漢方薬ですが、このような膀胱炎には、著効を示します。この方も三日ほどで症状が無くなりました。服用していると身体が温まるので、今でも膀胱炎の予防と冷えの薬として、服用中です。

漢方では、膀胱炎・尿道炎のような排尿痛・排尿困難を主症状とするものを淋証(りんしょう)といいます。西洋医学でいう淋病を指すものではありません。漢方では淋証をその症状から、弁証論治というシステムを用いて、「寒湿」「湿熱」「気滞」「気虚」「気血両虚」「腎陽虚」「陰虚」「陰虚火旺」「心陰陽両虚」などに分類し、治療方針を決定します。そしてそれに則って漢方薬が調合されます。「膀胱炎」という病名だけで、漢方薬を決定することはありません。

VOL.41 花粉症 ~その2~

花粉症の漢方薬といえば、日本では小青龍湯(しょうせいりゅうとう)が有名で、服用したことがある方も多いと思います。しかし、本来漢方治療は個々の症状・体質によって異なり、様々な処方を用います。小青龍湯が奏効するパターンは一割にも満たないのではないかと思います。 花粉症(アレルギー性鼻炎)は漢方では、「鼻キュウ」といい、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、涙目、目や喉の痒み等を共通の主症状としますが、まず、それ以外に付随する症状から、病態の分類を行います。きちんと漢方的に分類する事が、治療する上で最も重要となり […]

VOL.30 花粉症 ~その1~

花粉症と聞いただけで、鼻がムズムズしてくるイヤな季節がやってきました。西洋医学の薬をのむと眠くなったり、喉が渇いて不都合な方、アレルギー体質を改善したい方は、漢方治療にトライしてみましょう。 花粉症(アレルギー性鼻炎)は漢方では、「鼻キュウ」といい、鼻水、鼻づまり、クシャミ、涙目、目や喉の痒み等を共通の主症状としますが、まず、それ以外に付随する症状から、病態の分類を行います。 「花粉症」という病名にとらわれずに、きちんと漢方的に分類する事が、治療する上で最も重要となります。「風寒」「中風」「風温 […]

漢方薬通信VOL.230 月経痛が激しい方の不妊

 不妊の漢方相談では、月経について詳しくお聞きします。なかには、激しい月経痛でお困りの方もいらっしゃいます。月経痛は、個人差が大きく、痛みの特徴や強さ、痛みが悪化するタイミングも様々です。お仕事などによるストレスや生活環境の変化、出産の前後などで、痛み方が変化することもあります。  32才のA子さんは、パソコン作業の多いお仕事。二人目不妊のご相談です。「もともと月経痛が激しい。一人目のお子さんを出産してから軽減していたが、徐々に痛みが激しくなってきて、月経開始2日間は1日3回鎮痛剤を服用している […]

VOL.58 アトピー性皮膚炎2

「アトピー性皮膚炎」は、当薬局でも御相談が多い疾患の一つです。漢方では、「浸淫瘡」「血風瘡」「四弯風」「旋耳瘡」「異位性皮膚炎」「遺伝過敏性皮炎」「変位性皮膚炎」等と称しますが、発生頻度は日本の方が高いようです。 「3歳の男の子。皮膚全体が淡紅色~淡褐色、掻くとジュクジュクする。汗をかくと痒みが増す、食が細く好き嫌いが多い。お菓子やジュース類が好き。やや軟便気味。病院では、抗アレルギーの飲み薬とステロイドの塗り薬を処方されているが、一進一退。」との事でした。 胃腸が弱く消化能力が十分でないためア […]