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元気堂の漢方薬通信
  • 更年期障害

VOL.209 更年期の不安感

更年期障害は、「卵巣機能低下に伴うエストロゲン減少を基礎として、社会的、環境的、個人的な因子などが複雑に絡み合うことにより、器質的疾患がないにもかかわらず、自律神経失調を主とする不定愁訴がみられる症候群である。」とされています。

一方、漢方理論では、経断前後諸症などと称し、腎精(ホルモンと考えると良いでしょう)の消耗に伴う陰陽の不調を発症の根本としており、それが精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などに影響を及ぼすことによって、身体のバランスの失調を引きおこすと考えています。

50才のA子さん、「気持ちが落ち着かず、悪いことばかり考えてしまう。そのため、物事に集中できない。不安感、憂鬱が続いている。寝つきが悪く、夜中にも目が覚める。手足が冷え、疲れやすい。食欲減少して、身体が重だるい。」とのことでした。

腎精不足をベースに、脾失健運から生化不足や脾虚痰飲、胆鬱痰擾を生じていると考えて、加味温胆湯を服用していただき、腎精を補う鹿茸製剤も併用しました。3週間ほどで、気持ちが落ち着き、眠れるようになりました。現在も服用中ですが、ほとんどの症状は無くなり、お元気そうです。

更年期障害の症状や程度は千差万別ですが、それらを漢方的なものさしで、きちんと分析し、適切な漢方薬を選択することが、治療のためには、最も重要です。また、共通なのは腎精の不足が根本にあるということです。その点が、一般的な自律神経失調などと、大きく異ります。そのため、標本同治(疾病の本質と症状を同時に治療すること)が、治療のための重要なポイントとなります。

VOL.90 不妊 ~その5~

『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」を不妊(漢方では不孕(ふよう)といいます。)としています。 前者を「原発性不孕」後者を「継発性不孕」といいます。 「42歳、主婦の方、結婚後2年ほど経つが子供ができない。月経周期は26~30日。月経前になると下腹部や乳房が張って痛い、イライラしやすい。月経の量は少ないのに長く続く。手足が冷え、夜間尿がある。」とのこと。 腎陽虚証に肝気鬱結 […]

VOL.127 不妊~その10~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。 『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」とあります。 「35歳、ご自宅でパソコンを使うお仕事をしている方。結婚後3年ほど経つが子供ができない。月経周期は30~33日。月経前になると胸が張って痛い。微量出血3~4日のあとに月経が始まり、量は少なめ。足がつりやすく、爪がもろい。貧血気味で時々立ちくらみがする。唇の色は紫がかってい […]

VOL.33 腰痛

以前、当薬局の近くにお住まいで、ご主人のお仕事の関係で、関西の方に転居された40歳の女性からのお電話。「過労や睡眠不足が続くと腰が痛くなり、身体に力が入らない。痛みは突っ張る様なときと絞られるようなときがあり、お風呂や携帯用カイロで、温めたり、さすったりすると楽である。寒い日や薄着で冷やすと悪化する。食欲はいつもと変わらないが、腰痛が起きて以来、やや便秘気味である。」といった内容でした。 通常の体質は、既知の上だったので、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)と桂枝加大黄湯(けいしかだいおうとう)を […]

VOL.133 アトピー性皮膚炎  ~その17~

漢方では、「標」と「本」という考え方があります。「標」とは、外に現れている症状を指し、「本」とは、疾病の本質を指します。「急なればその標を治す」、「緩なればその本を治す」といい、症状が重いときは、それに対処し、落ち着いてきたら、根本治療をすることを説いています。さらに、「病気を治すには必ずその本質を治さなくてはならない。」という意味の「治病求本」という、原則を掲げています。  43才の会社員の男性。「仕事での過労が続いた所へ、カゼをひき体調をこわした後、落ち着いていたアトピー性皮膚炎が再発した。 […]