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元気堂の漢方薬通信
  • アトピー性皮膚炎

VOL.140 アトピー性皮膚炎 ~その18~

「20才のA君。3才くらいからアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド軟膏にて治療したり、遠方まで通って漢方薬を服用したりしていた。
一年ほど前から、顔(特に目や口の周囲)や首、肘の裏を中心に、紅斑、鱗屑がみられ、乾燥し痒みが甚だしい。入浴後、疲労、睡眠不足などで悪化しやすく、起床時は比較的軽く、夕方にひどくなりやすい。便秘はなく普段からやや軟便気味。」との事でした。

患部症状や体質などから、「脾気虚」に「陰血不足」を兼ねていると考え、参苓白朮散と杞菊地黄丸を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。
皮膚のダメージを改善するため瓊玉膏も併用しました。半年ほどでステロイド軟膏も不要になり、一年くらいですっかり落ち着きました。

アトピー性皮膚炎は、身近に数多く見られ、当薬局では最もご相談の多い疾患です。西洋医学でも根治する明確な治療法は確立されていないのが現状です。
また、アトピー性皮膚炎は、中国よりも日本の方が発生頻度が高いようです。そのためか、中医皮膚科の書籍では、「異位性皮膚炎」「遺伝過敏性皮炎」「変位性皮膚炎」等として記載されていますが、あまり詳細ではありません。
つまり、漢方においても「こうしたら、アトピー性皮膚炎は治る」といったマニュアルのようなものは無く、他の疾患以上に漢方的な悪化要因や患者さん一人一人の症状に合わせた臨機応変で、細やかな対応が必要となります。

日本人にアトピー性皮膚炎が多いのは、体質や生活様式によるものだと考えられます。

当薬局では、その部分に重点を置き、中医皮膚病学をベースに日本人の体質に合わせて、独自の漢方治療を行っています。是非、一度ご相談下さい。

VOL.162 咳喘息

Aさんは、50代の男性。「1ヶ月以上前に、カゼをひき、その後、忙しかったため無理をしすぎたせいか、カゼは治ったはずなのに、ひどい咳が治まらない。血中酸素濃度も低下しており、医師から『咳喘息』と診断された。喘鳴や呼吸困難はなく、少し息苦しい程度。痰はなく空咳が続く。疲れやすく、日中も眠くなりやすい。食後は特に眠気がひどい。咳は寒さや疲労で悪化しやすく、身体を温めたり休息で緩解する。汗をかきやすい。」といった症状でした。「脾肺陽虚」と判断し、甘草乾姜湯と医王湯を服用していただくことにしました。 服用 […]

VOL.191 排卵痛の漢方治療

不妊の漢方相談では、月経の状態や月経周期に伴う体調についてお聞きしています。その中には、排卵痛を訴える方も少なくありません。排卵痛とは、排卵日やその前後の数日間に感じる痛みのことをいいます。卵巣のあたりが痛むという方が多いですが、痛みの程度や頻度は人それぞれ。疲労やストレスが影響することもあります。また、頭痛や、吐き気、浮腫などを伴うこともあります。 「37歳、結婚して3年になる妊娠ご希望の看護師さん。それまで、排卵痛を感じることはなかったのに、お仕事のストレスがあり、過労と睡眠不足が続いてから […]

VOL.173 花粉症も十人十色

漢方では外部環境の変化により疾病を引き起こすものを外邪と称し、「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・熱邪」の六つをあげています。花粉症では、スギ花粉が春風に乗ってやってくるので「風邪(ふうじゃ)」の性質を中心に考えることが多くなります。体質的に冷えが強い場合の「陽虚」、体力の低下による「気虚」、胃腸が弱い「脾胃虚弱」、水液の代謝が悪い「湿痰」、ストレスによる「肝気鬱結」…等々の人が、風邪を主とした「風寒」「風熱」「風湿」…等の外部からの刺激を受けると花粉症を発症すると考えられています。 31才の女性の […]

VOL.155 月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)は日本産科婦人科学会用語解説集では、「月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの。」と定義されています。欧米の診断基準では、主な精神症状として、抑鬱、怒りの爆発、イライラ、不安感、判断力の低下、社会的引きこもりなど、身体症状としては、乳房痛、腹部膨満、頭痛、四肢の浮腫などが挙げられています。 東洋医学では、月経前に限らず、月経周期に伴って現れる諸症状を「月経前後諸症」としています。中でも、精神症状が主の場合を「経行情志異常」と […]