VOL.218 月経期間が長い方の不妊
不妊の漢方相談では、月経の状態を詳しくお聞きします。なかには、月経期間が長かったり、経血の量が多かったり、排卵期などの月経期以外に出血があったりと、出血傾向になる方もいらっしゃいます。
「33歳、結婚して2年。月経周期は30~38日と長めで、月経期間は10日間。2~3日目は、量が多めで血塊が混じる。月経痛は、断続的で仕事終わりなどのホッとしたときに痛みが増す。5日目からは、量が少なくなるが10日目まで続く。月経前は、胸が張りイライラしやすくなる。お仕事のストレスが大きい。首や肩が凝りやすく、立ち眩みがする。心配性で気になることがあると眠りが浅くなる。冷え症でシモヤケができる。最近ひどいストレスがあり、月経が14日間続いて心配になって…」とのことでした。ふだんからお仕事のストレスが大きいようですが、イライラするというより、不安を感じやすいようです。
気滞血瘀証に血虚、陽虚を兼ねていると考え、まず芎帰調血飲第一加減を服用していただき、腎精を補うために鹿茸製剤も併用しました。3ヶ月程の服用で、月経期間は改善し、短くなってきました。そこで、月経周期を安定させるため、鹿茸製剤は継続しつつ、体調に応じて逍遙散や帰脾湯に変更しました。その後、妊娠することができましたが、出血があります。妊娠中の出血は、とても不安なものです。安静にしながら、芎帰膠艾湯と帰脾湯を服用していただきました。安定期に入る頃には出血が止まり、ひと安心。無事、元気な男の子が誕生しました。
月経中や妊娠中に、出血傾向になる原因として、漢方では「気不統血」「瘀血」「血熱」「肝不蔵血」などが考えられます。出血傾向を改善するためには、月経期間や経血の量などの月経の状態、その方の体質などをよく見極めて、お身体に合った処方を選ぶことが大切です。きめ細やかなケアをして、妊娠しやすいコンディションにしていきましょう。