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元気堂の漢方薬通信
  • 関節痛・リウマチ

VOL.147 膝の痛み

膝は、関節の自由度が大きいにも拘わらず、体重の負荷が掛かりやすいため、損傷しやすい部位の一つです。痛みとともに、可動制限や腫れ、水が溜まるなどの症状を伴うことも多くみられます。
「76歳のA子さん、数年前から膝のやや内側が痛む。膝の裏の引きつりを伴うことが多い。夕方になると足の裏が浮腫んだような感覚になる。痛みは、冷えや疲労で悪化しやすい。やや疲れやすく、時に腰痛もあり。食欲正常で温かいものを好む。血糖値が少し高い。」とのこと。
 腎陽虚水泛証に陰陽両虚証を兼ねていると考え、牛車腎気丸と桂枝加芍薬湯を併用することにしました。また、填精補髄により、骨や関節をしっかりさせるために瓊玉膏を併用しました。1ヶ月ほどで痛みが軽減し、歩くのが楽になってきたとのこと。服用していると体調も良いとのことで現在も服用中です。
 漢方では筋・筋肉・骨関節などの部位の疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証を痹証(ひしょう)といい、現代医学の関節リウマチ、神経痛、変形性膝関節症、痛風などに当たります。
 痹証の漢方治療は、まず痛む部位、痛みの状態、患部の色、変形などの有無、悪化条件、好転条件などを明確にして、それらを手がかりに痹証のパターンをきちんと分類していきます。環境の変化によって悪化する「風痹」「寒痹」「湿痹」「熱痹」、血や水液の流れが悪いために生じる「瘀血痹阻」「痰湿阻絡」「痰瘀阻絡」、ストレスが原因となる「肝気鬱結」、気力、体力の消耗による「気血両虚」「陽虚」「陰虚」「陰陽両虚」、その他多くのパターンが考えられます。
いくつかのパターンが、複雑に混在していることが多く、きちんと判別することが治療のカギとなります。

VOL.127 不妊~その10~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。 『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」とあります。 「35歳、ご自宅でパソコンを使うお仕事をしている方。結婚後3年ほど経つが子供ができない。月経周期は30~33日。月経前になると胸が張って痛い。微量出血3~4日のあとに月経が始まり、量は少なめ。足がつりやすく、爪がもろい。貧血気味で時々立ちくらみがする。唇の色は紫がかってい […]

VOL.117 潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の非特異性炎症性疾患で、厚生労働省より特定疾患に指定されています。免疫異常から、関節や皮膚、眼などにも合併症がみられることもあります。漢方治療においても難しい疾患ではありますが、今回のように著効を示すこともあります。 Aさんは、20代の女性。「1日に3~4回、左下腹部が痛み、血便が出る。消化の悪いものを食べたり、ストレスにより悪化しやすい。偏頭痛があり、時々、側頭部が痛むことがある。月経不順で、月経前にイライラが強く、月経痛も激しい。皮膚 […]

VOL.76 更年期障害

更年期障害は西洋医学では、卵巣機能の低下によるホルモンの分泌不足、家庭環境や社会環境の変化による精神的ストレスなどを原因とする閉経前後にみられる身体的、精神的な諸症状とされています。漢方では経断前後諸症などと称し、加齢に伴って腎精が減少しその結果、精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などに影響を及ぼすことによって起こる身体のバランスの失調と考えています。 更年期障害の症状や程度は千差万別ですが、それらを漢方的なものさしで、きちんと分析すること […]

VOL.51 五十肩

五十肩は、西洋医学では「肩関節周囲炎」といわれ、40~50代に発症しやすく、痛みのために髪をとかしたり、帯をしめるなどのような運動を制限される症候群です。 漢方の古典では「五十肩」の他に「肩不挙」「老年肩」「凍結肩」などの名称で記載がみられます。 漢方治療においては、発病の原因、身体の状態、痛みの状態、活動制限の範囲、随伴症状などから、 ・冷え、湿度などの外部環境による「寒湿」「湿熱」 ・外傷や過労により血の流れが低下した「オ血」 ・加齢や過労による「肝腎不足」 ・他の慢性疾患による消耗や過労 […]