お問い合わせ・ご予約はこちら

0120-67-4193

お問い合わせフォーム

JR東船橋駅 南口前
定休日
日曜・月曜・祝日
元気堂の漢方薬通信

VOL.205 ストレスと漢方

新型コロナウィルス感染症の予防や対策のため、生活パターンや環境が急速に変化し、不安や憂鬱な気持ちで過ごされている方が少なくないと思います。
漢方では、怒(怒り)・喜(喜び)・憂(憂い)・思(思い)・悲(悲しみ)・恐(恐れ)・驚(驚き)という感情の変化を七情といいます。

七情は、もともと外界事物に対する自然な感情表現であり、通常は発病因子にはなりません。しかし、強烈な精神的ストレスを受けたり、長期的に精神的刺激を受け続けると、生理的に調節できる許容範囲を超えてしまい、臓腑の機能や気血の循環などが不調となり体調不良を起こします。

七情の影響で発病することを「内傷七情」といい、次の1~5のような病症がみられます。

1.怒(怒り)
漢方では、「怒は肝を傷る。怒れば則ち気上る。」といいます。イライラや怒りは、肝を損傷します。そのため肝の疏泄(西洋医学でいう自律神経のような機能です。)が失調し、肝気が上逆して「気上る」となります。症状としては、イライラして怒りっぽい、頭痛やめまい、顔面紅潮、目の充血、血圧の上昇などがみられます。肝気上逆が激しく、気の行血の機能が失調すると血随気逆となり、鼻血や喀血などの出血がみられることもあります。また、肝の疏泄失調が胃腸などの消化器の機能に影響し、胃の張った痛み、ゲップや膨満感、便秘や下痢、ガスが多いなどの症状(肝気犯脾、肝気犯胃といいます。)をひきおこすこともあります。

2.驚(驚き)、喜(喜び)
漢方では、「驚、喜は心を傷る。喜べば則ち気緩む。驚けば則ち気乱る。」といいます。まず、喜びですが、適度な喜びは精神の緊張を緩和し、気血を調和するため、健康に大変有益です。しかし、あまりに度を超えた喜びは、集中力を低下させたり、精神のバランスを崩したりすることもあります。また、過度の驚きは、心神(精神、意識)を乱し、不安感、動悸、不眠などを生じます。

3.思(思い)
漢方では、「思は脾を傷る。思えば則ち気結ぶ。」といいます。考えすぎや不安、心配、取り越し苦労などの思慮過度になると、脾失健運(消化器の機能低下)を生じます。「脾失健運」では、食欲不振や軟便、下痢、疲労倦怠感などがみられます。さらに、消化器の機能が低下しているため、人体に必要な気・血・津液・精などの生成が低下し、人体各部を滋養できなくなり、心・肝・腎などの臓腑をはじめ、様々な部分に不調を引き起こすこともあります。また、思慮過度は、心血を消耗するため、心神(精神、意識)が十分に栄養されず、顔色が悪い、不安感、動悸、不眠、健忘などがみられることがあります。

4.憂(憂い)・悲(悲しみ)
漢方では、「悲、憂は肺を傷る。悲しめば則ち気消す。憂えば則ち気鬱す。」といいます。過度の悲しみは肺の気を消耗し、憂鬱な気持ちは肺の気を鬱滞させます。そのため、咳嗽や息切れなどの呼吸機能の異常や、胸苦しいなどの胸部の感覚の異常、浮腫などの水液代謝の異常、気力や意欲の低下などが見られることがあります。

5.恐(恐れ)
漢方では、「恐は腎を傷る。恐るれば則ち気下る。」といいます。恐いことが度重なると、「腎」の機能が低下し、白髪や抜け毛が多くなったり、足腰が弱くなったり、尿失禁や性機能の減退などがみられます。

「内傷七情」は、東洋医学の人の心と体を一つのものと考える「心身一如」に基づき、感情と臓腑の不調を関連づけており、実際の治療では、さらに詳細に細分化され、それぞれの病症にあった漢方薬や養生法が控えています。

もちろん、他の疾患同様、個々の症状や体質をきちんと把握し、漢方的に判断して「証」を決定し、処方を選択することが重要になります。

VOL.33 腰痛

以前、当薬局の近くにお住まいで、ご主人のお仕事の関係で、関西の方に転居された40歳の女性からのお電話。「過労や睡眠不足が続くと腰が痛くなり、身体に力が入らない。痛みは突っ張る様なときと絞られるようなときがあり、お風呂や携帯用カイロで、温めたり、さすったりすると楽である。寒い日や薄着で冷やすと悪化する。食欲はいつもと変わらないが、腰痛が起きて以来、やや便秘気味である。」といった内容でした。 通常の体質は、既知の上だったので、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)と桂枝加大黄湯(けいしかだいおうとう)を […]

VOL.108 更年期障害3

更年期障害は、漢方では経断前後諸症などと称し、閉経前後に腎精(ホルモンと考えるとわかりやすいです。)が急速に減少することにより、精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などに影響を及ぼすことによって起こる身体のバランスの失調と考えています。腎精の消耗は閉経だけでなく、過労や不摂生などでもおこりますので、年齢に関係なく更年期のような症状がおこることもあります。 「50才の女性、月経周期が不安定になりだしてから、耳鳴、偏頭痛、焦燥感がみられるようにな […]

漢方薬通信VOL.223 アトピー性皮膚炎の遺伝と予防

 漢方相談をしていると時々、「アトピーって遺伝するんですか?」というご質問を受けることがあります。子供が4才になるまでのアトピー性皮膚炎の発症リスクを評価した研究では、両親ともにアレルギー疾患がない場合、アトピー性皮膚炎の発症率が27%だったのに対し、両親のどちらかにアレルギー疾患があると37.9%、両親ともにアレルギー疾患があると50%というデータがあるそうです。  アレルギー疾患をお持ちの方は、ご自分のお子さんが「アトピーになるのではないか?」と心配になるかもしれません。しかし、遺伝的なリス […]

VOL.140 アトピー性皮膚炎 ~その18~

「20才のA君。3才くらいからアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド軟膏にて治療したり、遠方まで通って漢方薬を服用したりしていた。 一年ほど前から、顔(特に目や口の周囲)や首、肘の裏を中心に、紅斑、鱗屑がみられ、乾燥し痒みが甚だしい。入浴後、疲労、睡眠不足などで悪化しやすく、起床時は比較的軽く、夕方にひどくなりやすい。便秘はなく普段からやや軟便気味。」との事でした。 患部症状や体質などから、「脾気虚」に「陰血不足」を兼ねていると考え、参苓白朮散と杞菊地黄丸を服用していただくことにして、スキンケア […]