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元気堂の漢方薬通信
  • アトピー性皮膚炎

VOL.129 アトピー性皮膚炎~その16~

「25才のA君、以前からアトピー性皮膚炎だったが、漢方治療により改善。しばらく落ち着いていたが、不摂生や睡眠不足などで再発、来局時は、皮膚が紅く腫れて、まぶたや額から黄色い汁がジクジク出ている。場所によっては、黄色いかさぶたがみられる。体幹部、肘裏、膝裏などにも紅斑が生じている。汗をかくと痒みが増す。普段は食欲正常だが、皮膚の痒みなどのストレスのせいか、少し食欲がない。大便は2日に1行。時々下痢することもある。」といった症状でした。

胃腸の弱りによる消化能力の低下である「脾胃気虚証」が根本的な原因と考えましたが、皮膚症状にみられる「湿熱証」がひどいので、まず、症状の改善を優先し、「湿熱証」に用いる竜胆瀉肝湯を服用して頂くことにしました。
2ヶ月ほどして、赤みやジクジクが落ち着いてきたので、「脾胃気虚証」をターゲットに帰耆建中湯に切り替えました。
精血を補い、皮膚のダメージを改善するため、瓊玉膏も併用しました。外用も、最初は抗生物質入りのステロイド軟膏を併用していましたが、徐々に減らしていき、漢方のスキンケアに切り替えました。

現在、一年ほど経過し、汗をかくと少し痒いことがあるそうですが、外見はアトピー性皮膚炎とはわからないほど、きれいになりました。

このような急性の症状を抑える治療方法を「標治」、根本的な体質改善を「本治」といいます。これらは患者さんの症状により、段階的に、或いは併行して行います。いずれにしても、漢方治療において、最も重要なことは、「アトピーには、○○湯」と決めつけずに、皮膚症状や個々の体質をしっかり把握し、段階に応じて、きちんと判断して的確な漢方薬をセレクトすることです。

漢方薬通信VOL.230 月経痛が激しい方の不妊

 不妊の漢方相談では、月経について詳しくお聞きします。なかには、激しい月経痛でお困りの方もいらっしゃいます。月経痛は、個人差が大きく、痛みの特徴や強さ、痛みが悪化するタイミングも様々です。お仕事などによるストレスや生活環境の変化、出産の前後などで、痛み方が変化することもあります。  32才のA子さんは、パソコン作業の多いお仕事。二人目不妊のご相談です。「もともと月経痛が激しい。一人目のお子さんを出産してから軽減していたが、徐々に痛みが激しくなってきて、月経開始2日間は1日3回鎮痛剤を服用している […]

VOL.159 不妊~その14~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。 最近は、“二人目不妊”でご相談にみえる方が増えているようです。 「38歳、結婚して10年。6才の男の子がいるが、なかなか“二人目”に恵まれない。月経周期は26~28日。月経痛が月経前半に辛い。経血は暗紅色で塊が混じる。いつもは心配性だが、月経前はイライラしやすく、胸が脹り、腹痛がある。頭痛持ちで、排卵期と月経前に悪化しやすい。寒がりで手足が冷えやすい。身体がだるく、浮腫みや、めまいが起こりやすい。」とのこと。月経周期のほとんどの時期に何らかの […]

VOL.35 夏かぜ

毎年、今頃の時季になると、次のような感冒の患者さんが多くみられます。 「悪寒や発熱は軽度だが、身体が重だるく、頭も重い。下痢や吐き気などがあり、食欲が減少している。」典型的な夏カゼですね。 夏の感冒は湿度が高く、(漢方では湿邪といいます。)冷房によって発汗も不調になりがちで、また、暑さ等により体力も低下した状態で生じています。また、冷たい物を摂りすぎている人もいるでしょう。 西洋医学のカゼ薬や冬季に使われる葛根湯、麻黄湯などは、夏季では発汗が過多となりその後冷えてしまい、反対に悪化させてしまうこ […]

VOL.116 脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎の原因として、西洋医学では、皮脂分泌の異常に真菌が関わったもの、皮脂中の過酸化脂質による刺激、ビタミン欠乏、アルコール、ストレス、糖尿病、肝疾患などが挙げられていますが、原因が多岐にわたり、ハッキリしていません。そのため、漢方相談にみえる患者さんも多くみられます。 Aさんは、40代の女性。「1年ほど前から、顔に淡紅色の赤み、軽微な痒みと鱗屑がみられる。顴部、頬部、顎などに多い。疲れや月経前、飲酒などにより悪化しやすい。肩こり、腰痛などもあり、時々、月経不順となる。ストレスも多い。便秘 […]