元気堂の漢方薬通信
VOL.126 頭痛5
27才のA子さん。
「10才頃から、後頭部を中心に頭痛が起こる。部位は移動することがある。時に目眩、悪心、嘔吐を伴う。ストレス、疲労、起床時、目の疲労などによって悪化しやすく、月経前後に特に発症しやすい。疲れやすく、肩こりも激しい。睡眠がやや浅い。夜中に足がつる。月経不調、月経前にイライラが激しい。」との事。
「肝陽上亢」「痰飲」に「精血不足」を兼ねていると考え、釣藤散と瓊玉膏を服用していただきました。一ヶ月後、月に何度も発症していた頭痛が月経前だけになり、その後も次第に頭痛が起こらなくなり、「漢方薬って効くんですね。」と喜んでいただけました。
五臓の精血、六腑の清陽の気は経絡を通って、皆、頭に注いでいることから、頭部は“諸陽の会”“清陽の府”と呼ばれています。多くの臓腑、経絡、器官が関連しているため、頭痛を引き起こす原因は多岐にわたります。
気候や環境の影響による「風寒」「風熱」「風湿」「暑湿」「実寒」、ストレスによる「肝気鬱結」「肝火上炎」、水分代謝が悪いために生じる「痰飲」、暴飲暴食などによる「胃熱」「食滞」、血液の流れが悪い「瘀血」、過労や睡眠不足が引き起こす「気虚」「陽虚」「血虚」「陰虚」、加齢による「腎虚」などのパターンに分類していきます。そして、パターンに応じた治療法則を決定し、熟慮した上、漢方薬を選択します。頭痛に使用する漢方処方は、百種類を超えます。
頭痛も他の疾患と同様、症状をきちんと分析して処方を決定することが、治療の早道となります。