元気堂の漢方薬通信
VOL.90 不妊 ~その5~
『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」を不妊(漢方では不孕(ふよう)といいます。)としています。
前者を「原発性不孕」後者を「継発性不孕」といいます。
「42歳、主婦の方、結婚後2年ほど経つが子供ができない。月経周期は26~30日。月経前になると下腹部や乳房が張って痛い、イライラしやすい。月経の量は少ないのに長く続く。手足が冷え、夜間尿がある。」とのこと。
腎陽虚証に肝気鬱結証と血瘀証を兼ねていると考え、鹿茸大補湯をベースに少腹逐瘀湯と逍遥散を飲み分けていただきました。オーダーメイドの周期療法です。生理痛や経血の状態が改善し、3ヶ月ほどでめでたく妊娠。おなかの赤ちゃんが元気に育つよう、今は安胎の漢方薬を服用中です。
漢方では不妊を月経や全身の症状から、「腎陽虚証」「腎陰虚証」「気血両虚証」「肝気鬱結証」「痰湿証」「血瘀証」などに分類し、それぞれに応じた三十ほどの処方を組み合わせていきます。
また、基礎体温表なども西洋医学とは異なる漢方的な角度による見方があります。さらに、これといったトラブルが見当たらないのに妊娠しない場合には、月経周期を「月経期」「低温期」「排卵期」「高温期」に分割し、時期ごとに漢方薬を服み分ける「漢方周期療法」を用いることもあります。
当薬局では、不妊のご相談は出産経験のある女性薬剤師が主に対応させていただいております。
安心して、ご相談下さい。