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元気堂の漢方薬通信
  • アレルギー性鼻炎

VOL.65 アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎というと、春のスギ花粉が有名ですが、スギ以外の花粉やダニ、ハウスダストなどが原因になっているものも多く、春季がピークとはいえ、通年みられる疾患です。もっとも、漢方においては、原因物質で治療方法が変わることはなく、患者さんの自覚症状が一番大切ですが…。

38才のA子さん、「透明な鼻水と鼻づまりが顕著で、くしゃみ、目の痒みを伴う。手足が冷え、寒がり。顔色が青白く、食欲も無く、疲れやすい。屋内と屋外で著明な変化はないが、寒さや疲労によって悪化する。」といった症状でした。小青龍湯や葛根湯などを始め、いくつかの漢方薬を服用したことがあるが、無効だったとのこと。
脾肺陽虚と判断し、甘草乾姜湯と参苓白朮散を服用していただきました。服用後すぐに症状が改善し不思議そうです。「こんなに快適なのは久しぶりです。身体も温まってきて、とても楽です。」と喜んでいただけました。
陽虚タイプの方は、普段からの冷えの改善も大切ですね。

アレルギー性鼻炎は漢方では、「鼻鼽」といい、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、涙目、目や喉の痒み等を共通の主症状としますが、まず、それ以外に付随する症状から、病態の分類を行います。「アレルギー性鼻炎」や「花粉症」といった病名にとらわれずに、きちんと漢方的に分類する事が、治療する上で最も重要となります。当薬局では、アレルギー性鼻炎を大きく二十三のパターンに分類し、約五十種類の処方を使い分けています。

VOL.171 不妊と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。不孕の漢方相談にいらっしゃる方の多くは、不妊クリニックでの治療も行っています。なかには、排卵誘発剤を用いていて「卵巣が腫れているから、治療を少しお休みしましょう」と言われる方もいらっしゃいます。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)かもしれません。 「38歳、結婚して2年が経過する方。お仕事が超多忙で、家事との両立に苦心している。疲れやすく、体重が減少し、月経が来なくなってしまった。心配になり婦人科を受診。排卵誘発剤があれば月経が来るが、卵巣が腫れたた […]

VOL.126 頭痛5

27才のA子さん。 「10才頃から、後頭部を中心に頭痛が起こる。部位は移動することがある。時に目眩、悪心、嘔吐を伴う。ストレス、疲労、起床時、目の疲労などによって悪化しやすく、月経前後に特に発症しやすい。疲れやすく、肩こりも激しい。睡眠がやや浅い。夜中に足がつる。月経不調、月経前にイライラが激しい。」との事。 「肝陽上亢」「痰飲」に「精血不足」を兼ねていると考え、釣藤散と瓊玉膏を服用していただきました。一ヶ月後、月に何度も発症していた頭痛が月経前だけになり、その後も次第に頭痛が起こらなくなり、「 […]

VOL.134 首の凝り

25才のAさん。 「首の凝りがひどく、目眩や頭痛を伴うこともある。お仕事上、パソコンなどで目を使うことが多い。症状は夕方に強くなりやすく、疲労や睡眠不足、ストレスなどで悪化しやすい。また、時には朝起きたときに首が強ばっている。疲れやすく、冷え性。時々寝つきが悪い。やや便秘気味。」といった症状でした。 疲労や目の使いすぎによる陰血虧虚を主とし、ストレスによる肝鬱気滞や冷えによる陽気虚衰を兼ねると考え、逍遙散と人参養栄湯を併用することにしました。二週間でかなり回復。憂鬱な表情は消え、元気に来局してく […]

VOL.212 冬の養生法

漢方の聖典の一つである『黄帝内経素問』の四気調神大論には、 「冬三月、此れを閉蔵と謂(い)う。水凍り、地裂ける。陽を擾(みだ)すことなかれ。」と書かれており、冬は、万物の機能が閉蔵し、寒さが強いため、人体の陽気の損傷に気をつける必要があることを説いています。 1.寒さ対策 『黄帝内経素問』の厥論には、「陽気は足の五指の表より起こり、陰脈なる者は、足下に集まりて足心に聚(あつ)まる。」と記されています。足には重要な三つの陽経の終点の経穴と三つの陰経の起点の経穴があります。漢方では、「寒従脚起」とい […]