元気堂の漢方薬通信
VOL.59 アトピー性皮膚炎3
前回に引き続き「アトピー性皮膚炎」のお話です。
「30歳の女性、A子さん。数年前にアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド軟膏を塗布。一時的には良くなるが再発し、徐々に悪化している。眼瞼部や頬、口周囲が特にひどく、赤み、乾燥、肥厚、落屑がみられる。月経前にひどくなりやすく、過労やストレスでも悪化しやすい。以前、アトピー性皮膚炎に良いといわれる温清飲という漢方薬と健康食品を服用していたが、改善しない。」との事でした。
温清飲は、「血熱証」のアトピー性皮膚炎に用いる漢方薬ですが、A子さんのタイプは、「肝鬱化火証」と「気血両虚証」を兼ねていると判断し、丹梔逍遙散を服用してもらうことにしました。皮膚のダメージを改善するため瓊玉膏も併用しました。30日ほどで効果が見え始め、その後少しずつ改善し、塗り薬等も使わなくてよくなりました。約一年で漢方薬も不要になり、ご友人の方を紹介していただきました。
前回も記載しましたが、幼児期のアトピー性皮膚炎は「脾虚」タイプが多く、一方、中高生~成人では、このようなストレスによって悪化する「肝気鬱結」タイプや睡眠不足、過労などにより悪化する「血虚」や「陰虚火旺」タイプが多いように思われます。
これまでに、長い間、漢方薬を服用してもよくならなかったと言われる方は、西洋医学的な基準や漢方理論に基づかない判断で、合わない薬を服用されていたことが多いようです。漢方治療のために一番重要なことは、皮膚症状や個々の体質をきちんと判断して的確な漢方薬をセレクトすることです。