漢方薬通信VOL.222 排卵時から月経前にお腹が張る方の不妊
不妊の漢方相談では、主に月経の状態を詳しくお聞きしますが、排卵時や月経前などの月経周期に伴って起こる体調変化についてもお聞きします。なかには、月経痛は軽く、月経期の体調は悪くないのに、排卵時から月経開始までの方が不調という方もいらっしゃいます。
「35才のAさん。二人目不妊のご相談です。月経周期は、28日前後。月経期間は4日間。経血の量は普通で、血塊が混じる。月経痛は、月経前半に下腹部が少し痛む程度で、つらくはない。月経前は、いつもよりイライラしやすくなり、お腹が張る。お腹の張りは、排卵時から月経開始まで続き、スカートのウエストがきつくなるほど。その間、便通はゆるくなりやすい。お仕事でパソコンを使うことが多く、肩が凝る。」とのことでした。一人目のお子さんの妊娠の際も漢方相談に来て下さっていた方で、数年経って、久々のご相談です。
漢方では、ストレスなどがあって気が滞ると、張りを生じることが多いと考えます。また、排卵時や月経前は、誰でも気が滞りやすい時期でもあります。いつも朗らかな方で、お聞きしてもストレスはあまり感じていないとおっしゃっていましたが、普段から気を遣うタイプの方。出産後に再開したお仕事の疲労、お仕事と育児と家事の両立などが、お身体に影響していたのかもしれません。
気の滞りを改善するために、逍遙散や当帰芍薬散を体調に合わせて服用していただき、腎精を補うために、瓊玉膏も併用しました。排卵時から月経開始までのお腹の張りは徐々に軽減し、めでたく妊娠。安胎の漢方薬も服用して、かわいい女の子が誕生しました。
不妊の漢方相談では、その方に合った漢方薬をセレクトすることが大切です。月経の状態をよく見極めることが大切ですが、月経周期に伴って起こる体調変化に着目することも必要です。激しい月経痛のようなツライ症状だけでなく、些細なこと?と思えることも伝えていただけると漢方治療の参考になります。
きめ細かいケアをして、妊娠しやすいコンディションに近づけていきましょう。