元気堂の漢方薬通信
VOL.110 蕁麻疹
「31才のA子さん。2ヶ月ほど前から、首から下の全身に蕁麻疹が発症。痒みが強いため、血痂が多くみられる。夕方から夜にかけて症状が悪化しやすい。入浴中は楽になるが、入浴後は痒みが増す。疲れやすく、暑がりで手足がほてる。喉が渇いて冷たいものが好き。ストレスが多くイライラしやすい。肩こり、腰痛、目眩、立ちくらみあり。大便は3~5日に1行。抗アレルギー剤やステロイドを使用しているが、良くならない。」との事でした。
患部症状や体質などから、「肝陰虚火旺」から「血熱」を生じていると判断し、丹梔逍遥散を服用していただくことにしました。
便秘のひどいときだけ、麻子仁丸も併用しました。
しばらくして、別の件でお母様が来局し、「娘の蕁麻疹は、すっかり良くなりました。」と喜んでいただきました。漢方では蕁麻疹を、外部環境の影響による「中風証」「風寒証」「風熱証」「風湿証」、飲食の不摂生などによる「湿熱証」「脾胃虚寒証」、ストレスなどが原因となる「肝気鬱結証」「肝火上炎証」「血熱証」、過労などによる「気血両虚証」「陰虚証」、ホルモンなどの乱れによる「衝任不調証」、長期化によって生じる「血瘀証」などのタイプに分類し、それに応じた治療法則を決定、さらに詳細に弁証した上、処方を決定します。
他の疾患同様、皮膚の症状や個々の体質をきちんと判断して的確な漢方薬をセレクトすることが治療の早道です。
最近は、社会情勢も不安定なせいか、ストレスの影響が強いものが多くみられるように思います。漢方薬を上手に使って、快適に乗り切りましょう。