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元気堂の漢方薬通信
  • 腰痛

VOL.111 腰痛2

男性、50歳。
「数日前にぎっくり腰(急性腰痛症)になり、左腰部が引きつるように痛い。痛みは寒冷により悪化し、温めたり、入浴により軽減する。お仕事が忙しく、徹夜が続いたりする。7月にも発症したばかりで、ここ数年、年に1回程度発症する。疲れやすくストレスも多い。暑がりで寒がり。普段から肩こりや耳鳴がみられる。」とのこと。

過労やストレス、冷えが原因となり、『陽虚証』をひきおこしたと考え、桂枝加芍薬湯と腎気丸を併用していただくことにしました。10日後来局し、「数日間服用すると、痛みがなくなった。」とのこと。
無理が続いているので、念のため、さらに10日間服用していただきました。現在は漢方に興味を持たれて、別の疾患で服用中です。

腰痛とは、腰部の片側或いは両側に現れる痛みを主症状とする疾患です。
腰部は「腎の府」といわれ、足少陰腎経の循行経路が、「脊を貫き腎に属している。」ので、腰痛は腎と密接な関係があります。
ストレスや過労で、無理をなさっている方も多く、ぎっくり腰(急性腰痛症)になりやすくなっている方も多くみられます。腰痛の漢方治療では、痛みの状態や悪化条件、好転条件などから、冷えによる『実寒証』、湿気による『外湿証』、血の流れが悪い『瘀血証』、ストレスや神経疲労による『肝気鬱結証』、老化などに伴う『腎虚証』、過労による『気虚証』や『陽虚証』『気血両虚証』などのパターンに分類し、治療方針を決定していきます。そして、その治療方針に則って漢方薬が選択されていきます。特に寒熱の分類が重要なポイントになります。

VOL.109 めまい2

「64才女性、主訴はめまい。回転性ではなく、顔がのぼせて、ふらふらして立っていられない。特に起床時や夕方に発症しやすい。時々、イライラ、不安感や動悸を伴う。手足が冷えやすく、夜間尿一回。首・肩のこりがひどく、腰や膝の痛みもある。食欲はあるが食は細い。」との事。 肝陽上亢と痰濁上擾、腎陽虚を兼ねていると考え、釣藤散と至宝三鞭丸を服用していただくことにしました。 一ヶ月後、一人で歩けるようになり、元気な表情で、お見えになりました。服用を始めて一週間ほどから、症状が緩解してきたそうです。「手足も温まっ […]

VOL.57 蓄膿症2

蓄膿症は現代では副鼻腔炎と呼ばれ、鼻漏、後鼻漏、鼻塞、嗅覚障害、頬部・鼻根部の鈍痛、頭痛、頭重などの症状がみられます。 漢方では『鼻渊(びえん)』と称し、外部の環境の影響により引き起こされる「風寒」「風熱」、ストレスが原因の「肝気鬱結」「肝火上炎」「胆腑鬱熱」、暴飲暴食や食事のかたよりによる「脾胃実熱」、消化器や肺の虚弱による「脾虚痰濁」「脾胃虚弱」「肺脾虚寒」、鼻腔の血行不良による「血ォ」などのパターンに分類し、さらに詳細に弁証した上、薬方を決定します。 10歳の男の子、「鼻づまりがひどく、膿 […]

VOL.83 不妊 ~その3~

漢方理論において、妊娠とは、子宮等だけではなく、肝・心・脾・肺・腎の五臓や衝脈・任脈などの共同作業によるものであり、中でも最も重要な臓腑は腎です。腎には成長発育、生殖の源となる基本物質が蓄えられていて、これを腎精と呼んでいます。腎精が不足すると生殖機能の低下、不妊、流産しやすい、月経不調、閉経が早まる、ホルモン分泌の異常、老化の早期化などが起こりやすくなると考えられています。そのため、漢方の不妊治療において、腎精を充実させることは必須です。 「35歳の女性。結婚して6年になるが、子供ができない。 […]

VOL.139 不妊 ~その11~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。 『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」とあります。 「33歳、パソコンを多く使うお仕事をしている方。結婚後3年ほど経つが子供ができない。月経周期は29~34日。月経前になると、臍傍が痛み、胸が張り、足がむくみ、イライラしやすい。手足が冷えるのは、寒い時と、緊張した時。いつもは温かいものを好むのに、時々冷たいものを少量飲みた […]