元気堂の漢方薬通信
VOL.46 肩こり
36才の主婦のAさん。平素から胃腸が弱く、疲れ易く、体調を崩すと漢方薬で立て直しています。今回は「普段からある肩こりがひどくなった。肩の筋が突っ張っている感じ。特に朝起きた時は、首が後へ回せないほど。気候は温かくなってきたのに手足が冷え、冷たいものは飲みたくない。整体などにも行ってみたが、治療直後は良くなるが、また再発する。」といったご相談でした。
冷えが主な原因の肩こりと考え、桂枝人参湯を服用して頂きました。一週間後に爽やかな表情で来局し、首を回して見せてくれました。
「肩こり」というとすぐ「血行不良」と考えがちですが、それだけとは限りません。漢方では、
・冷房などの冷たい風による「風寒」
・過度の湿気が原因の「湿邪留滞」
・冷えによる「寒邪外襲」や「陽虚」
・ストレスによる「肝気鬱結」や「肝鬱化火」
・胃腸の弱りが原因となる「脾気虚」「脾陽虚」
・血行不良による「血オ」
・食べ過ぎ等による「食滞」
・過労や睡眠不足による「気虚」や「気血両虚」或いは「陰虚火旺」等々……。
「肩こり」を引き起こしている原因を探りながら様々なパターンに分類し、更に詳細に判断して漢方処方を使い分けていきます。例えば、胃腸の弱りが肩こりを起こしているなどとは思ってもみなかった方も多いのではないでしょうか?
肩こりは身体の変調の注意信号かもしれません。漢方では身体全体を総合的に判断することが重要になります。