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元気堂の漢方薬通信

VOL.45 便秘

Kさんは28才の女性。「長年便秘に悩んでいるが、市販の便秘薬を服用すると腹痛がひどく下痢になってしまう。お腹が張る。手足が冷えるが、冷たい飲み物が好き。肩こり。やや眠りが浅い。」との事。

陽虚と血虚を兼ねた便秘と考え、双和湯を服用していただき、「お腹の中を温める漢方薬ですが、下剤は入っていない処方なので、どうしても出ないときだけ、お手持ちの市販の漢方便秘薬を少量だけ使って下さい。」とお話しました。

一週間後、「便秘薬は服まずに便通があります。お腹も痛くありません。」とうれしそう。こちらまで爽快な気分になりました。今では、何も服用しなくても便通は良好。現在は冷えの治療中です。

便秘は漢方では、食事や生活習慣からくる熱が原因の「熱秘」ストレスによる「気秘」過労や腹部の筋力が弱い「気虚秘」大腸の潤いが不足している「血虚秘」や「陰虚秘」冷えが原因の「冷秘」などに分類し、さらに症状、体質を分析して処方を決定していきます。

食事や生活習慣の変化からか、最近は便秘の方が多いように思います。また、便秘による腸内環境の悪化は、様々な疾患の原因となることもあります。ただ下剤で下すのではなく、漢方薬を上手に使って根本治療してみましょう。

漢方薬通信VOL.224 WHO「世界では6人に1人に不妊の影響」

 2023年4月、世界保健機構(WHO)は、「世界全体で、成人の6人に1人が不妊を経験している」とする報告書を公表しました。新聞にも掲載されていたので、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。この報告は、1990年から2021年の世界での様々な研究を分析して得られたもので、その有病率に地域間のばらつきはなく、高所得国と中所得国、低所得国で大きな差はなかったそうです。WHOは不妊症を「男性または女性の生殖器系の疾患であり、避妊しない定期的な性交渉を12か月以上続けても妊娠に至らないこと」と定義し […]

VOL.158 不眠症

漢方では不眠症を“不寐”“失眠”“不得眠”“不得臥”“目不瞑”などとも称し、日常的に正常な睡眠が得られないという症状のことをいいます。 不眠には、症状の軽重があり、軽度の場合は、「入眠困難」「睡眠中に覚醒しやすい」「一旦目を覚ますと再度眠ることができない」「眠ったり目を覚ましたりを繰り返す」などの症状がみられます。また、重篤な場合は、「一晩中一睡もできない」こともあります。 Aさんは五十代の男性。「五、六年前に、仕事のストレスから、寝つきが悪くなり、夜中に何回も目が覚める。疲れやすく、物事に意欲 […]

VOL.173 花粉症も十人十色

漢方では外部環境の変化により疾病を引き起こすものを外邪と称し、「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・熱邪」の六つをあげています。花粉症では、スギ花粉が春風に乗ってやってくるので「風邪(ふうじゃ)」の性質を中心に考えることが多くなります。体質的に冷えが強い場合の「陽虚」、体力の低下による「気虚」、胃腸が弱い「脾胃虚弱」、水液の代謝が悪い「湿痰」、ストレスによる「肝気鬱結」…等々の人が、風邪を主とした「風寒」「風熱」「風湿」…等の外部からの刺激を受けると花粉症を発症すると考えられています。 31才の女性の […]

VOL.64 アトピー性皮膚炎~その5~

 「アトピー性皮膚炎」は、当薬局でも御相談が多い疾患の一つです。漢方では、 「浸淫瘡」「血風瘡」「四弯風」「旋耳瘡」「異位性皮膚炎」「遺伝過敏性皮炎」「変 位性皮膚炎」等と称しますが、発生頻度は日本の方が高いようです。 「3歳の男の子。皮膚全体が淡紅色~淡褐色、掻くとジュクジュクする。汗を かくと痒みが増す、食が細く好き嫌いが多い。お菓子やジュース類が好き。やや 軟便気味。病院では、抗アレルギーの飲み薬とステロイドの塗り薬を処方されて いるが、一進一退。」との事でした。胃腸が弱く消化能力が十分で […]