関節痛・ リウマチ
骨や関節、筋肉などが侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいます。
このうち、関節の炎症が続き、やがては機能障害を起こしてしまう病気が「関節リウマチ」です。
症状は?
「関節リウマチ」の大きな特徴は「関節の腫れ」です。
「関節リウマチ」はじっとしていても痛い程の腫れが特徴で、その痛みは「かみつかれたような痛さ」といわれるほどです。
手首や手足の指の関節にあらわれることが多く、左右両側の関節に生じます。
「関節リウマチ」とよく似た病気に「変型性関節症」がありますが、「変型性関節症」は、老化や外傷をきっかけに発症し関節を動かした時に痛みをともなうのが特徴です。
痛みの原因は?
「関節リウマチ」の特徴である「腫れと痛み」は、免疫機構の異常による関節の炎症が原因で生じます。
免疫機構とは、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの外敵を攻撃し排除するシステムで、本来、健康を保つ働きがあります。
しかし、何らかの原因でこのシステムに異常が生じると免疫機構が自分の体の成分や組織を外敵と間違って、自分自身を攻撃してしまうのです。
関節の中で免疫機構と正常な組織との間に争いが起こると、関節は炎症を起こします。
これが「関節リウマチ」です。
炎症が進むとどうなるの?
関節内で炎症が続くと、関節全体を包み込んでいる関節包の内側にある「滑膜」に血管や細胞が増え、「滑膜」自体が厚く腫れてしまいます。
正常な状態の「滑膜」には関節の動きをなめらかにする働きがあります。
そのため、「滑膜」が腫れると関節の動きがぎくしゃくする、こわばるなどの症状が生じるほか、炎症が進行すると骨の軟骨部分や靱帯、さらには骨そのものを破壊してしまいます。
漢方では…
漢方では関節痛やリウマチなどの筋・筋肉・骨関節などの部位の疼痛、腫脹、しびれなどを主症状とする病証を痹証(ひしょう)と称します。
痛む部位、痛みの状態、患部の色、変形などの有無、悪化条件、好転条件などを明確にして、それらを手がかりに痹証のパターンをきちんと分類し、その方に合った治療法及び漢方薬を決定していきます。
痹証の発生原因
1.外感六淫 | 風・寒・湿・熱などの外界からの刺激(外邪といいます)が過度になったり、長期化することにより、気血の流れが妨げられ、痛みを生じます。 |
2.正気不足 | 体力が充実していれば外邪の侵襲を防ぐことができますが、過労や睡眠不足、体力低下の状態では、容易に外邪が侵襲し、気血の流れが妨げられ、痛みを生じます。 |
3.瘀血・痰飲 | 疾患が長期化することにより、瘀血や痰飲が発生し、気血の運行がさらに滞り、悪化します。 |
漢方的にみた関節痛・リウマチの発生の仕組み
1.風寒湿邪
風・寒・湿の外邪が人体に侵襲し、経絡が阻滞、気血の運行が失調すると、「不通則痛(通ぜざれば則ち痛む)」により、痹証となる。
風・寒・湿のうちどの邪気が偏盛かにより、「風痹」「寒痹」「湿痹」に分類される。
2.風湿熱邪
風・湿・熱邪の感受、或いは風寒湿痹の化熱により、「不通則痛(通ぜざれば則ち痛む)」となり、熱邪偏盛の痹証(熱痹)を形成する。
- 風熱の邪が湿邪を伴うことにより生じる。
- 素体陽盛或いは陰虚の状態においては、外邪を感受すると化熱しやすく、熱痹となる。
- 風寒湿痹が長期化し、経絡関節に留滞、鬱して化熱することでも発症することがある。
3.瘀血・痰飲
風寒湿痹或いは熱痹が長期化し、気血津液の運行不暢が甚大になると、血脈瘀阻、津液凝集から、瘀血や痰飲を生じ、「不通則痛(通ぜざれば則ち痛む)」がさらに顕著となる。
4.気血の損耗
痹証の主要病変部位である筋骨関節は、「肝は筋を主り、腎は骨を主る。」といわれ、痹証が長引くと、肝腎が損傷され、陽気や陰血が消耗し、肝腎両虚、気血不足となり 「不栄則痛(栄えざれば則ち痛む)」も生じる。
「関節痛・リウマチ」の発生のしくみ
日常生活の工夫と注意
【ストレスは大敵】
何よりも大切なことは十分な睡眠時間をとることです。
夜更かしは避けて疲れを感じた時は時間を決めて昼寝をしてください。
ストレスをためることも禁物です。ゆったりとした気持ちで過ごせるように努めましょう。
【家事での負担を減らすためにキッチンを工夫しましょう。】
- 座りながら仕事ができるようにイスを用意しましょう。
- 動かしやすいワゴンを活用しましょう。
- 蛇口をレバーハンドル式に変えましょう。
- 買い物にはキャリアーを利用しましょう。疲れた時に腰掛けられるタイプのキャリアーも便利です。
【その他】
- 朝方は関節がこわばりやすいため、ふとんよりも起床時に起き上がりやすいベッドをおすすめします。
- トイレやお風呂などの壁に手すりをつけると、立ち上がる時の関節の負担が軽減されます。
- お酒はできるだけ控えましょう。特にリウマチの活動期にお酒を飲むことは避けましょう。
- うつむき加減で本を読んだりすると、首や肩の痛みの原因になります。
30分以上うつむいた姿勢を続けることは避けてください。 - 冷房は控えめにしましょう。また、膝に毛布をかけるなどして関節を冷やすのは避けましょう。