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元気堂の漢方薬通信
  • 不妊

VOL.171 不妊と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。不孕の漢方相談にいらっしゃる方の多くは、不妊クリニックでの治療も行っています。なかには、排卵誘発剤を用いていて「卵巣が腫れているから、治療を少しお休みしましょう」と言われる方もいらっしゃいます。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)かもしれません。
「38歳、結婚して2年が経過する方。お仕事が超多忙で、家事との両立に苦心している。疲れやすく、体重が減少し、月経が来なくなってしまった。心配になり婦人科を受診。排卵誘発剤があれば月経が来るが、卵巣が腫れたため休薬中。その間何かできることはないかと、ご来局。以前の月経の状態は、周期30~40日で、経血の量は少ない。月経前は、イライラしやすく、食欲亢進し、便秘気味になるが、月経開始とともに元に戻る。今の体調は不安感が強く、動悸を感じる。お小水が近く、夜間も1回起きる。食欲はあるが、多くは食べられない。」とのこと。心脾両虚証と判断し、帰脾湯を服用していただくことにしました。腎精を補う目的で瓊玉膏も併用しました。1ヶ月の服用で、不安感や動悸は軽減し、体調も回復してきました。そして2ヶ月後、排卵誘発剤の再開を待たずに、なんと自然妊娠。今は、安胎の漢方薬を服用中で、お元気そうです。
漢方では不妊を月経や全身の症状から、「腎陽虚証」「腎陰虚証」「気血両虚証」「肝気鬱結証」「痰湿証」「血瘀証」などに分類し、それぞれに応じた三十ほどの処方を組み合わせていきます。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などがあれば、それも考慮します。お身体に合った漢方薬で、妊娠しやすいコンディションに整えていきましょう。当薬局では、不妊のご相談は出産経験のある女性薬剤師が主に対応させていただいております。安心して、ご相談下さい。

VOL.110 蕁麻疹

「31才のA子さん。2ヶ月ほど前から、首から下の全身に蕁麻疹が発症。痒みが強いため、血痂が多くみられる。夕方から夜にかけて症状が悪化しやすい。入浴中は楽になるが、入浴後は痒みが増す。疲れやすく、暑がりで手足がほてる。喉が渇いて冷たいものが好き。ストレスが多くイライラしやすい。肩こり、腰痛、目眩、立ちくらみあり。大便は3~5日に1行。抗アレルギー剤やステロイドを使用しているが、良くならない。」との事でした。 患部症状や体質などから、「肝陰虚火旺」から「血熱」を生じていると判断し、丹梔逍遥散を服用し […]

VOL.111 腰痛2

男性、50歳。 「数日前にぎっくり腰(急性腰痛症)になり、左腰部が引きつるように痛い。痛みは寒冷により悪化し、温めたり、入浴により軽減する。お仕事が忙しく、徹夜が続いたりする。7月にも発症したばかりで、ここ数年、年に1回程度発症する。疲れやすくストレスも多い。暑がりで寒がり。普段から肩こりや耳鳴がみられる。」とのこと。 過労やストレス、冷えが原因となり、『陽虚証』をひきおこしたと考え、桂枝加芍薬湯と腎気丸を併用していただくことにしました。10日後来局し、「数日間服用すると、痛みがなくなった。」と […]

VOL.191 排卵痛の漢方治療

不妊の漢方相談では、月経の状態や月経周期に伴う体調についてお聞きしています。その中には、排卵痛を訴える方も少なくありません。排卵痛とは、排卵日やその前後の数日間に感じる痛みのことをいいます。卵巣のあたりが痛むという方が多いですが、痛みの程度や頻度は人それぞれ。疲労やストレスが影響することもあります。また、頭痛や、吐き気、浮腫などを伴うこともあります。 「37歳、結婚して3年になる妊娠ご希望の看護師さん。それまで、排卵痛を感じることはなかったのに、お仕事のストレスがあり、過労と睡眠不足が続いてから […]

VOL.112 アトピー性皮膚炎14

「27才男性、幼少期からアトピー性皮膚炎。しばらく症状は落ち着いていたが、数ヶ月前から仕事が忙しくなり、睡眠不足も続いたためか悪化してきた。額部や首、下肢、肘裏、手甲に多く発症し、患部淡紅色、痒み、赤み、乾燥、肥厚、落屑、血痂がみられる。普段から胃腸が弱く、下痢をしやすい。口渇有り。過労以外は、入浴後や発汗により悪化する。喘息の既往症もある。」との事でした。 気陰両虚と脾虚湿盛を兼ねていると考え、参苓白朮散と瓊玉膏を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。服用開始から […]