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元気堂の漢方薬通信
  • アトピー性皮膚炎

VOL.135 まぶたの痒み

当薬局だけかもしれませんが、最近立て続けに、瞼(まぶた)の痒みや赤みのご相談をお受けしました。
気温や湿度の急激な変化に皮膚がダメージを受けている方が多いのかもしれません。

瞼は、身体の中でも一、二番目に皮膚の薄く、様々な刺激を受けやすい部位です。アトピー性皮膚炎の治療の時なども注意が必要です。

42才のAさん。「数ヶ月前から、瞼の痒み、赤みが気になる。患部は乾燥しているが、時々掻き壊すとジュクジュクすることがある。症状は夕方に強くなりやすく、疲労や睡眠不足、ストレスなどで発症しやすい。食欲はあるが、胃がもたれやすく、やや軟便気味。日常的に睡眠不足で、眠りも浅い。貧血気味で、手足の痺れ、不正出血などもみられる。消風散や温清飲などの漢方薬を服用してみたが無効だった。」といった症状でした。

疲労、ストレスなどによる気血両虚・心脾両虚と考え、帰脾湯を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。
二週間でかなり回復。二ヶ月ほどで、痒み等の症状は、ほとんど落ち着き、皮膚の乾燥も改善してきました。胃腸の調子も良いようで、不正出血も起こらないそうです。

漢方では、皮膚の症状、悪化条件、好転条件、随伴症状などから、「瞼の痒み」を気温や湿度の変化などの外からの刺激による「風寒」や「風熱」、ストレスによる「肝気鬱結」や「肝鬱化火」、過労や睡眠不足による「気血両虚」や「陰血虧虚」或いは「陰虚火旺」、過食などの飲食の不摂生による「胃熱熾盛」や「食滞化火」、胃腸の弱りが原因となる「脾気虚」や「脾陽虚」、症状の長期化による色素沈着などがみられる「血瘀阻滞」等々の様々なパターンに分類し、更に詳細に判断して漢方処方を使い分けていきます。

VOL.172 冷えが強いために起こる便秘

Aさんは、22才。知人の薬局さんからのご紹介。 「中学生の頃から少しずつ便秘になり始め、昨年秋から特にひどくなり、時には7日に1回くらいしか排便がない。今まで、麻子仁丸や桂枝加芍薬大黄湯などを服用したことがあるが、腹痛や下痢を発症する。四肢や腹部などが冷えやすく、便秘も冬季に悪化する。ストレスや生理前もひどくなりやすい。お腹が張ることが多い。風邪を引きやすい。」とのこと。陽気の不足と脾虚肝乗を兼ねた便秘と考え、建理湯を服用していただくことにしました。20日ほどして、来局された時には「毎日、便通が […]

VOL.192 疲労で悪化するアトピー性皮膚炎

西洋医学では、アトピー性皮膚炎は、バリア機能・生理機能が低下した皮膚が、外側からの刺激を受けて発症するとされています。 これを漢方的に解釈すると、人体の抗病能力である正気(気・血・津液・精など)の不足に、外部環境の変化、飲食の不摂生、ストレス、過労などの誘因・増悪因子が加わることにより生じると考えられます。ここで、漢方治療のために大切なのは、外側からの刺激を防ぐことよりも、抗病能力である正気を充実させることです。過労や睡眠不足などで、正気を消耗し、アトピー性皮膚炎が悪化するケースは、多く見られま […]

VOL.190 無月経症の漢方治療

18才以上になっても初潮がなかったり、或いは月経が3ヶ月以上中断しているものを「経閉(無月経症)」といいます。無月経は、大きく「生理的無月経」と「病的無月経」に分類することができます。生理的無月経とは、初潮が来る前や閉経後、妊娠中、産後の授乳期などの、病的ではなく治療を必要としない無月経を指します。一方、病的無月経とは、本来月経があるはずの時期において、異常な月経停止が起こっている状態を指します。 「30才のAさん。半年ほど前から、月経が来ない。以前より月経周期がバラバラで、20日から4ヶ月くら […]

VOL.206 アトピー性皮膚炎と「バリア機能」

アトピー性皮膚炎は、皮膚の外側から来る刺激に対して、皮膚の内側がアレルギー反応を起こして発症するといわれています。外側からの刺激を受けやすい「皮膚バリア機能の低下」とアレルギー反応を起こしやすい「アトピー素因」とが、関わっていると考えられます。皮膚バリア機能の低下は、漢方では正気の不足と考えます。特に防御作用を受け持つ衛気という気が重要です。衛気が不足すると外部からの刺激や異物が入りやすくなります。また、津液や血の不足は、皮膚を滋潤することができずドライスキンとなります。 9才のA君「腕や膝裏、 […]