元気堂の漢方薬通信
VOL.124 冷え性3
『冷え性』は身体および手足が温まらない事を特徴とし、漢方では、「畏寒」「四肢厥冷」「下肢冷」「腰腹冷」などに相当します。
一口に『冷え性』と言っても、その感覚は様々で、手足が冷えて寒がりの人、手足は冷えているのに寒がらない人、ストレスがかかると手足が冷える人、手足は冷えているのに冷たいものを欲しがる人、等々。
漢方においても、個々の症状の特徴から、冷えの原因を「腎陽虚」「脾陽虚」「寒邪」「湿邪」「熱邪内鬱」「衝任虚寒」「肝気鬱結」「痰飲内停」等に分類し、約四十種類の処方を使いわけていきます。
六十代の女性、「手足が温まらず寒がり。低体温で34~35℃くらい。疲れやすく、風邪をひきやすい。温かいものを好む。冷えのため尿の回数が多い。夜間尿1回。冷えると腰が痛むことがある。疲れると動悸がすることがある。」といった症状でした。
「脾腎陽虚」と判断し、胃腸や内臓を温めて内部から冷えを治す附子理中湯(ぶしりちゅうとう)を飲んでいただくことにしました。
服用を始めると身体が温まり、体温も上昇、疲労倦怠感も減ってきました。顔色も良くなり、行動も積極的になったようです。
『冷え性』といえども、他の疾患と同様、症状や体質をきちんと分析して処方を決定することが、治療の早道となります。冷えが強いと精神的にも消極的になりがちです。漢方で身体も精神も温めて、積極的になりましょう。