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元気堂の漢方薬通信

漢方薬通信VOL.227 ストレスで起こる蕁麻疹

 蕁麻疹は、漢方では、「風隠疹」「隠疹」「風疹塊」などと称し、歴代の文献では「風疹」「癮疹」「風瘙癮疹」「風㾦癗」「疫疙瘩」「風綹疹」等々、別名が多く見られます。
痒みを伴う一過性の限局性膨疹で、扁平に隆起した紅斑様の皮膚病変を特徴とします。

 漢方では、蕁麻疹を、皮膚の状態や悪化条件、好転条件、随伴症状などから、外部刺激による「風寒証」「風熱証」「中風証」、食物や飲酒などの影響による「脾胃湿熱証」「肝胆湿熱証」「寒湿困脾証」「脾胃虚寒証」「腸胃積熱証」、ストレスなどによる「肝気鬱結証」「肝火上炎証」、過労などによる「気血両虚証」「血虚生風証」、血液の流れなどの不調による「血瘀証」「血熱証」「衝任失調証」などに分類し、更に詳細に分析して、処方を決定します。

 Aさんは、37才の女性。「2ヶ月ほど前から、朝と夕方に蕁麻疹が発症する。お仕事のストレスがあるためか、発症するのは出勤日に限られ、休日には発症しない。疲れやすく、食後眠くなる。やや便秘傾向でお腹が張る。月経前に胸が張る。以前よりも身体に熱感がある。冷たい物を欲するが大量には飲まない。」とのことでした。ストレスが原因で肝火上炎から血熱を生じていると判断し、逍遙散と温清飲を服用して頂くことにしました。2ヶ月後、蕁麻疹は、3~4日に一度程度になり、便通も良好、4ヶ月ほどで、発症しなくなりました。

 蕁麻疹というと食物や薬に反応したり、寒冷や日光などの刺激によるケースを想像しがちですが、西洋医学においても、原因を特定できない蕁麻疹が約7割を占めているそうです。当薬局でも、ストレスによる心因性蕁麻疹は、増加してきているように感じています。

漢方薬通信VOL.228 高プロラクチン血症を伴う不妊

 不妊の漢方相談には、高プロラクチン血症といわれている方もいらっしゃいます。プロラクチンは、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれ、出産後、授乳期間中に母乳を作るホルモンです。そして、授乳期間中の妊娠は、母体への負担が大きいので、プロラクチンの分泌が活発な間は、自然と妊娠しにくい状態になります。授乳期間中でないのに血中のプロラクチンが多い状態を高プロラクチン血症といい、乳汁漏出したり、排卵が抑制されて妊娠しにくくなったり、妊娠しても子宮収縮して流産してしまうことがあります。  32才のAさんは、結婚したばか […]

VOL.102 夜尿症

夜尿症は、漢方では「小児遺尿」ともよばれ、3歳以上の小児が睡眠中に1回から数回、 無意識に排尿し、目覚めた後で気づくことを言います。 一般的には「おねしょ」と言ったほうがわかりやすいですね。 Mちゃんは4才の女の子、「比較的寒いときや、幼稚園で嫌なことがあったりすると夜尿が続く。日中も頻尿になり、今行ったと思ったら、すぐに行きたくなる。心配性、怒りっぽい、暑がりで寒がり、頭に汗をかきやすい。夜泣きすることもある。普段から体温がやや低め。食欲や便通にムラがある。」といった症状でした。 心神失養と腎 […]

VOL.40 長引く咳

例年よりも寒さの厳しい中、風邪をひいている方も多くみられます。中でも咳が続いていて、なかなか抜けない方が目立ちます。漢方では咳嗽を急性のものは外感、つまり身体に余分なものが侵入し、まだ体表面に病があるものとし、一方慢性のものは、五臓六腑に病が侵入したものと考えます。 慢性の咳嗽に関係する臓腑は、主に肺・脾・腎・肝であり、口渇や痰の有無、痰の状態、疲労倦怠感、汗、食欲、便通などの状態から治療法を決定していきます。倦怠感が強く、過労により悪化する「気虚」、冷えが原因の「陽虚」、肺の乾燥による「陰虚」 […]

VOL.197 胃腸虚弱とアトピー性皮膚炎

漢方では「肺は皮毛に合す」「脾は肌肉を主る」といいます。これは、健康な皮膚を保つためには、肺や脾(漢方では消化器系のリーダーのことです。)の生理機能が大きく関わっていることを示しています。肺や脾の生理機能が低下すると、皮膚の栄養が不足し、滋養されないと乾燥や痒みを生じます。また、皮膚のバリア機能が低下し、外界からの刺激に反応しやすくなります。 「33才男性、幼少期からアトピー性皮膚炎。しばらく症状は落ち着いていたが、5年程前から悪化してきた。普段から胃腸が弱く、下痢をしやすい。疲れやすく、食後は […]