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元気堂の漢方薬通信
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VOL.195 多嚢胞性卵巣症候群を伴う不妊

不妊の漢方相談には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といわれている方もいらっしゃいます。PCOSは、排卵障害のひとつです。成長を開始した卵子がどれも充分に成長できずに萎縮し、空になった卵胞が、列になって卵巣に残ります。これを超音波で見るとネックレスのように見えるので、ネックレスサインと呼ばれ、PCOSの診断の特徴的な症状です。スムーズに排卵できないので、生理が遅れたり、生理が来ないこともあります。
「25歳、結婚して1年。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の疑いがあるといわれた。排卵はしているが卵子の成長がよくないとのこと。生理周期は33~35日。経血は暗紫色で、塊が混じる。生理前は、胸が張り、イライラしやすく、時々頭痛がする。心配性。睡眠は、夢が多く、心配事があると眠りが浅くなる。友人の出産の話題を素直に喜べない自分に苛立ちを感じる。夜間尿は1日1回。冷え性で、手足が冷え、腰から下が重だるい。手足に冷汗がある。」とのことでした。
心血虚と肝気鬱結、それに瘀血を伴っていると考え、生理中以外は、帰脾湯と逍遙散を、生理中には、折衝飲を飲み分けていただくことにしました。腎精を補うため瓊玉膏も併用しました。
服用開始から約6ヶ月。生理周期は30日、経血の状態・生理前の体調は順調。気持ちも穏やかになり、よく眠れるようになりました。さらに、3ヶ月後、「妊娠しました。」と嬉しいご報告をいただきました。ホッとした、やさしい表情です。
PCOSの診断には、超音波での検査が必要です。そのため、漢方の古典にPCOSの概念はありませんが、スムーズな排卵ができるように、生理の状態や体質などをよく見極めて、お身体に合った漢方薬をセレクトすることが大切です。
当薬局では、不妊のご相談は出産経験のある専任の女性薬剤師が主に対応させていただいております。安心して、ご相談下さい。

VOL.53 花粉症 ~その4~

花粉症(アレルギー性鼻炎)は漢方では、「鼻キュウ」といい、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、涙目、目や喉の痒み等を共通の主症状としますが、まず、それ以外に付随する症状から、病態の分類を行います。 「花粉症」という病名にとらわれずに、きちんと漢方的に分類する事が、治療する上で最も重要となります。当薬局では、花粉症を大きく二十三のパターンに分類し、約五十種類の処方を使い分けています。 その中で比較的多くみられる方の一つに、普段から寒がりで、手足が冷えるタイプがあります。このタイプの方は、漢方では「陽虚」とい […]

VOL.80 月経不順 ~その2~

漢方では、月経を一定の規律をもった周期的な子宮からの出血と定義し、月経周期が21日以下のものを経行先期、35日以上のものを経行後期、短縮したり延長したりして不規則なことを経行先後無定期と称して分類しています。さらに、随伴症状や体質などを考慮し、「血熱」「陰虚火旺」「肝気鬱結」「肝火上炎」「気虚」「血虚」「陽虚」「陰虚」「気血両虚」「腎気不固」「血お」「実寒」等々に分類し、約六十種類ほどの薬方を使い分けていきます。 19才のAさん。「月経周期が14日から60日くらいで、一定しない。月経量が少ない。 […]

VOL.74 頭痛 ~その2~

37才女性、Aさん。「産後しばらくして左側頭部の重い痛みが発症。1年ほど続いている。頭痛と共に患部の熱感、肩こり、悪心などを伴う。ストレス、疲労などによって悪化しやすく、生理前後は特に発症しやすい。疲れやすく、不安、イライラ、耳鳴りがある。睡眠がやや浅い。軟便気味。」との事。 「肝陰虚」と「肝気鬱結」を兼ねていると考え、丹梔逍遥散を服用していただくことにしました。出産と過労による体力の低下も大きな要因になっていると考え、瓊玉膏も併用しました。 1、2ヶ月ほど著効がみられませんでしたが、3ヶ月後に […]

VOL.112 アトピー性皮膚炎14

「27才男性、幼少期からアトピー性皮膚炎。しばらく症状は落ち着いていたが、数ヶ月前から仕事が忙しくなり、睡眠不足も続いたためか悪化してきた。額部や首、下肢、肘裏、手甲に多く発症し、患部淡紅色、痒み、赤み、乾燥、肥厚、落屑、血痂がみられる。普段から胃腸が弱く、下痢をしやすい。口渇有り。過労以外は、入浴後や発汗により悪化する。喘息の既往症もある。」との事でした。 気陰両虚と脾虚湿盛を兼ねていると考え、参苓白朮散と瓊玉膏を服用していただくことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。服用開始から […]