VOL.184 皮膚バリア機能低下とアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、現代医学では、痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎で、皮膚の乾燥とバリア機能異常があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。一方で漢方的に見たその発症の仕組みは、患者さん一人一人少しずつ異なりますが、基本的には、気・血・津液など正気の不足が原因となり、外部環境、ストレス、過労、飲食の不摂生などにより誘発・増悪すると考えられます。
「18才のA君。幼少期からアトピー性皮膚炎と診断され、増悪・緩解を繰り返していたが、4,5ヶ月前から特に悪化した。全身に、淡紅色の紅斑がみられ、乾燥し痒みが甚だしい。一方、患部によっては、ジクジクと分泌液が出ている。比較的、汗をかきやすく、疲労や発汗で悪化しやすい。あまりストレスは感じていない。」とのことでした。患部症状や体質などから、気虚のために、衛外不固となり皮膚のバリア機能の低下や浸潤がみられ、さらに血・津液の生成も低下し、皮膚を滋養できず、乾燥や痒みを生じていると考え、千金内托散と四物湯を服用していただくことにしました。皮膚のダメージを改善し、腎精を補う瓊玉膏も併用し、スキンケアの指導もさせていただきました。半年ほどで、症状はほぼ落ち着き、あと一息で漢方治療も卒業できそうです。
アトピー性皮膚炎は、現代医学でも根治する明確な治療法は確立されていないのが現状です。中国などに比べ、日本人にアトピー性皮膚炎が多いのは、体質や生活様式によるものだと考えられます。当薬局では、その部分に重点を置き、中医皮膚病学をベースに日本人の体質に合わせて、独自の漢方治療を行っています。
是非、一度ご相談下さい。