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元気堂の漢方薬通信

VOL.43 虚弱児

虚弱児
A君は6才の男の子。お母さんにつれられてやってきました。「汗をかきやすいせいかたびたび風邪をひく。風邪をひくと長びいてなかなか治らない。食が細い。疲れ易くごろごろしていることが多い。」といった色白の少年です。

虚弱児は文部科学省の定義では、
(1)病気にかかりやすく、治りにくい。
(2)疲労しやすい。
(3)身体発育がおくれている。
(4)顔色が悪く貧血傾向。
(5)アレルギー症状をくりかえす。
(6)不定愁訴がある。
といったところですが、西洋医学では決め手となる治療手段は持ち合わせていないと思います。

漢方では、
・汗をかきやすく風邪をひきやすい「肺衛気虚」
・神経過敏で夜泣きなどが激しい「心気怯弱」
・食欲がなくお腹をこわしやすい「脾気虚」
・腹痛をくりかえし手足が冷えやすい「脾陽虚」
・眩暈、立ちくらみ等があり、身体が重だるく食欲がない「脾虚痰飲」 ・イライラ、疳が強い「肝気鬱結」
・生まれつき体力がなく発育がおそい「腎虚」 等々…… に分類し、さらに症状、体質を分析して処方を決定していきます。
A君は「脾肺気虚」と判断し醫王湯(いおうとう)を服用してもらうことにしました。身体全体の抵抗力を高める瓊玉膏も併用しました。服用後3ヶ月ほどで食欲がでて、ごろごろしなくなりました。現在半年ほどになりますが、風邪もひきにくくなり学校も休まなくなりました。顔色も良くなりお母さんもひと安心です。

VOL.100 不妊~その6~

漢方では、不妊を「不孕」「求子」「無子」「絶産」「絶子」 などと称し、婦人科分野において、古典にも多くの記載がみられます。 実際の治療においては不妊を月経や全身の症状から、「腎陽虚証」「腎陰虚証」「気血両虚証」「肝気鬱結証」「痰湿証」「血瘀証」などに分類し、それぞれに応じた三十ほどの処方を組み合わせていきます。 基礎体温表なども西洋医学とは異なる漢方的な見方があり、また、これといったトラブルが見当たらないのに妊娠しない場合には、月経周期を「月経期」「低温期」「排卵期」「高温期」に分割し、時期ごと […]

VOL.209 更年期の不安感

更年期障害は、「卵巣機能低下に伴うエストロゲン減少を基礎として、社会的、環境的、個人的な因子などが複雑に絡み合うことにより、器質的疾患がないにもかかわらず、自律神経失調を主とする不定愁訴がみられる症候群である。」とされています。 一方、漢方理論では、経断前後諸症などと称し、腎精(ホルモンと考えると良いでしょう)の消耗に伴う陰陽の不調を発症の根本としており、それが精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などに影響を及ぼすことによって、身体のバランス […]

VOL.159 不妊~その14~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。 最近は、“二人目不妊”でご相談にみえる方が増えているようです。 「38歳、結婚して10年。6才の男の子がいるが、なかなか“二人目”に恵まれない。月経周期は26~28日。月経痛が月経前半に辛い。経血は暗紅色で塊が混じる。いつもは心配性だが、月経前はイライラしやすく、胸が脹り、腹痛がある。頭痛持ちで、排卵期と月経前に悪化しやすい。寒がりで手足が冷えやすい。身体がだるく、浮腫みや、めまいが起こりやすい。」とのこと。月経周期のほとんどの時期に何らかの […]

VOL.110 蕁麻疹

「31才のA子さん。2ヶ月ほど前から、首から下の全身に蕁麻疹が発症。痒みが強いため、血痂が多くみられる。夕方から夜にかけて症状が悪化しやすい。入浴中は楽になるが、入浴後は痒みが増す。疲れやすく、暑がりで手足がほてる。喉が渇いて冷たいものが好き。ストレスが多くイライラしやすい。肩こり、腰痛、目眩、立ちくらみあり。大便は3~5日に1行。抗アレルギー剤やステロイドを使用しているが、良くならない。」との事でした。 患部症状や体質などから、「肝陰虚火旺」から「血熱」を生じていると判断し、丹梔逍遥散を服用し […]