お問い合わせ・ご予約はこちら

0120-67-4193

お問い合わせフォーム

JR東船橋駅 南口前
定休日
日曜・月曜・祝日
元気堂の漢方薬通信
  • 不妊

漢方薬通信VOL.228 高プロラクチン血症を伴う不妊

 不妊の漢方相談には、高プロラクチン血症といわれている方もいらっしゃいます。プロラクチンは、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれ、出産後、授乳期間中に母乳を作るホルモンです。そして、授乳期間中の妊娠は、母体への負担が大きいので、プロラクチンの分泌が活発な間は、自然と妊娠しにくい状態になります。授乳期間中でないのに血中のプロラクチンが多い状態を高プロラクチン血症といい、乳汁漏出したり、排卵が抑制されて妊娠しにくくなったり、妊娠しても子宮収縮して流産してしまうことがあります。


 32才のAさんは、結婚したばかりですが、もともと月経周期が不安定なので、婦人科を受診したところ、高プロラクチン血症といわれたそうです。
「初潮は15才。月経周期は、35~45日で一定せず、60日くらいになるとホルモン剤を服用して月経を起こしている。月経期間は7日間。経血の量はふつうで、血塊は無く、色は淡紅色。月経痛は、2日目に重だるい痛みがあり、温めるとラクになる。月経前には、胸が脹り、イライラすることもあるが、不安を感じることが多い。ストレスを感じやすく、ストレスが強いと月経周期が長くなる。疲れやすい。睡眠状態が悪く安定剤を常用している。」とのことでした。

 肝気鬱結に心血虚を伴っていると考え、逍遙散と帰脾湯を服用していただき、腎精を補うために、鹿茸製剤も併用していただきました。服用開始してまもなく妊娠しましたが、この時は残念ながら流産。さらに漢方薬を続けて約10ヶ月。月経周期は安定して、睡眠の状態もかなり良くなってきたところで、再び妊娠。妊娠中も、体調に合わせた漢方薬を服用して、健やかに過ごされました。心配していた“妊娠中の安定剤”を服用せずにすみ、無事、かわいい女の子が誕生しました。育児も授乳も睡眠も順調で、嬉しそうな笑顔です。

 漢方の古典に高プロラクチン血症という記載はありませんが、肝や腎の失調により、ホルモンバランスが乱れることがあります。一方、高プロラクチン血症は、視床下部・下垂体障害や下垂体腺腫から起こるケースや、薬剤が原因で起こるケースもあります。それらを確認した上で、月経の状態や体質などをよく見極めて、適した漢方薬をセレクトし、妊娠しやすいコンディションに近づけていきましょう。

よろしければこちらもご覧ください

VOL.196 アトピー性皮膚炎と感染症

アトピー性皮膚炎の発症には、多くの要因が絡み合っており、様々なことに影響されやすいため、なかなか手強い疾患です。漢方的にみるとその発症の根幹は、気・血・津液・精などの正気が不足することによる皮膚バリア機能の低下と考えられます。そのため、暑さ、寒さ、乾燥、湿気などの環境の変化や、ハウスダスト、食物などのアレルゲンに反応しやすくなり、発症或いは悪化します。また、正気の不足による皮膚バリアの低下のため、皮膚感染症を合併することもあります。中でも多く見られるのは、伝染性膿痂疹(とびひ)です。 「22才の […]

VOL.55 不妊

『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後3年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに3年以上妊娠しないこと」を不妊(漢方では不孕(ふよう)といいます。)としています。前者を「原発性不孕」後者を「継発性不孕」といいます。 「30歳の女性。結婚して4年になるが、子供ができない。月経周期は安定しているが、月経痛が激しく、温めると楽になる。お腹や手足が冷える。ストレスも多く、疲れやすい。肩こり、腰痛もある。」とのお話でした。肝気鬱結証に陽虚証を兼ねてい […]

VOL.72 めまい

「25才女性、職業はシステムエンジニアをなさっています。 主訴は目眩で、回転性の強いものではなく動作時にクラッときたり、立ちくらみ、ふらつきがある。数日前の朝、洗顔時に目がくらみ、顔がのぼせて、立っていられなくなった。頭痛、首・肩のこりがひどい。身体が重だるい。以前、過呼吸になったことがある。夕方になると下肢に軽度の浮腫がみられる。 仕事柄、一日中パソコンのモニターとにらめっこ。そのせいかストレスが強く、イライラする。生理前になるとイライラが強くなり、熱っぽくなる。便秘と下痢をくり返す。めまいは […]

VOL.157 更年期障害~その3~

「50才のA子さん。数ヶ月前から、月経周期が早くなったり、遅くなったり不定期。頭に汗をかきやすい。手足が冷えたり、火照ったりする。火照ると蕁麻疹のようなものが出ることがある。イライラしやすい。寝つきがやや悪く、眠りが浅い。時々、軽い眩暈がする。便秘と下痢を繰り返す。」とのお話。腎精不足と肝火上炎を兼ねると考え、丹梔逍遙散に腎精を補う瓊玉膏を併用して、服用していただくことにしました。一ヶ月後、「今回は、ピッタリ28日で来ました。」と元気なご報告。睡眠の状態や体調も良く、蕁麻疹も出ないそうです。 更 […]