VOL.72 めまい
「25才女性、職業はシステムエンジニアをなさっています。
主訴は目眩で、回転性の強いものではなく動作時にクラッときたり、立ちくらみ、ふらつきがある。数日前の朝、洗顔時に目がくらみ、顔がのぼせて、立っていられなくなった。頭痛、首・肩のこりがひどい。身体が重だるい。以前、過呼吸になったことがある。夕方になると下肢に軽度の浮腫がみられる。
仕事柄、一日中パソコンのモニターとにらめっこ。そのせいかストレスが強く、イライラする。生理前になるとイライラが強くなり、熱っぽくなる。便秘と下痢をくり返す。めまいは、ストレスや疲労で起こりやすい。」との事。
肝鬱血虚と肝火上炎、水飲阻滞を兼ねていると考え、丹梔逍遥散と茯苓桂枝白朮甘草湯を服用していただくことにしました。服用後、二週間ほどで、めまいが起きなくなり、イライラもしないようです。「身体が軽くなったみたいで、とても楽です。」と喜んでいただけました。
漢方ではめまいを主訴、悪化条件、好転条件、随伴症状、現病歴などから、いくつかのパターンに分類していきます。例えば、身体の水分代謝の失調が主な原因の「水飲阻滞」「痰濁上擾」「痰熱上擾」、血の流れが悪いことが原因となる「お血阻滞」、疲労が主な原因となる「気虚下陥」「気血両虚」「腎陽虚」「腎陰虚」「腎陰虚火旺」、ストレスが主な原因となる「肝気鬱結」「肝火上炎」「肝陽化風」などに分類し、さらに詳細に弁証した上、薬方を決定します。
めまいを発症したときの状況が大切であり、他の疾患と同様、きちんと漢方的に分類する事が、治療する上で最も重要となります。