元気堂の漢方薬通信
VOL.49 下痢
秋から冬にかけては、食べ物がおいしくなる季節。でも胃腸が弱く、すぐお腹をこわす方は、楽しみも半減です。お腹をしっかりさせて、秋の味覚を満喫しましょう。
漢方では、感染性の下痢を痢疾(りしつ)、その他の一般的な下痢を泄瀉(せっしゃ)として区別しています。泄瀉は、その原因から、
・冷たいものの摂りすぎや冷えが原因の寒湿泄瀉
・お酒や辛いものの摂りすぎによる湿熱泄瀉
・暴飲暴食からの傷食泄瀉
・胃腸の機能低下に伴う脾虚泄瀉や水飲内停
・ストレスによって起こる肝鬱泄瀉
・病が長引くことによって生じるオ阻腸絡や腎虚泄瀉
などに分類され、更に症状、体質を分析して、漢方薬が決定されます。
Tさんは36才の女性。「食事をすると必ず便意を催し、下痢をしやすい。疲れ易く、食が細く、食後眠くなりやすい。寒がりで手足が冷える。疲れや冷えによっても下痢しやすく、お腹に冷感がある。携帯用のカイロでお腹や背中を温めると楽。」との事。
「脾陽虚」の泄瀉と判断し、参苓白朮散と玄武湯を併用して頂きました。一週間ほどで、便通が整いだし、その後手足の冷えもなくなってきました。
胃腸を丈夫にすると太ってしまうのでは?と心配なさる方もいると思いますが、漢方では胃腸の機能低下のために新陳代謝が悪くなって太っているケースもあり、その場合は胃腸の働きを良くすると代謝が良くなり、お腹がスッキリしてきます。