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元気堂の漢方薬通信
  • 不妊

VOL.139 不妊 ~その11~

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。
『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」とあります。

「33歳、パソコンを多く使うお仕事をしている方。結婚後3年ほど経つが子供ができない。月経周期は29~34日。月経前になると、臍傍が痛み、胸が張り、足がむくみ、イライラしやすい。手足が冷えるのは、寒い時と、緊張した時。いつもは温かいものを好むのに、時々冷たいものを少量飲みたくなる。心配性で、動悸がする。肩がこり、目がかすみ、ドライアイ。くまができやすい。」とのこと。真面目な方で、お仕事が多忙で、心身ともに無理をしているようです。

気滞血?証に、気血両虚証を兼ねていると考え、月経周期に合わせて、折衝飲と帰脾湯を服用していただきました。また、腎精を補うために瓊玉膏を併用しました。1ヶ月ほどの服用で、肩から上があたたまって目がラクになり、2ヶ月ほどで、月経前のむくみやイライラ、胸の張りが軽くなりました。4ヶ月後、めでたく妊娠、嬉しそうです。その後も、安胎の漢方薬を服用していただき、もうすぐ出産です。

漢方では不妊を月経や全身の症状から、「腎陽虚証」「腎陰虚証」「気血両虚証」「肝気鬱結証」「痰湿証」「血?証」などに分類し、それぞれに応じた三十ほどの処方を組み合わせていきます。お身体に合った漢方薬で、妊娠しやすいコンディションにしていきましょう。

当薬局では、不妊のご相談は出産経験のある女性薬剤師が主に対応させていただいております。安心して、ご相談下さい。

VOL.69 にきび~その2~

ニキビというと、中高生の顔にできるものというイメージがありますが、当薬局では、十代の方よりも二十代、三十代の成人ニキビのご相談の方が多くみられます。漢方においては十代のニキビは、成長期に伴う脾胃の活動過多や女子では月経開始による血熱などが原因になっているのに対し、成人ニキビでは、ストレスや過労、胃腸障害などが関わっている場合が多くみられます。当然、治療法は同じではありません。 Kさんは30才の女性。「十代の頃はあまりニキビに縁がなかった。頬と顎にできやすく、やや赤みが強い。月経前やストレス、過労 […]

VOL.116 脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎の原因として、西洋医学では、皮脂分泌の異常に真菌が関わったもの、皮脂中の過酸化脂質による刺激、ビタミン欠乏、アルコール、ストレス、糖尿病、肝疾患などが挙げられていますが、原因が多岐にわたり、ハッキリしていません。そのため、漢方相談にみえる患者さんも多くみられます。 Aさんは、40代の女性。「1年ほど前から、顔に淡紅色の赤み、軽微な痒みと鱗屑がみられる。顴部、頬部、顎などに多い。疲れや月経前、飲酒などにより悪化しやすい。肩こり、腰痛などもあり、時々、月経不順となる。ストレスも多い。便秘 […]

VOL.184 皮膚バリア機能低下とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、現代医学では、痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎で、皮膚の乾燥とバリア機能異常があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。一方で漢方的に見たその発症の仕組みは、患者さん一人一人少しずつ異なりますが、基本的には、気・血・津液など正気の不足が原因となり、外部環境、ストレス、過労、飲食の不摂生などにより誘発・増悪すると考えられます。 「18才のA君。幼少期からアトピー性皮膚炎と診断され、増悪・緩解を繰り返していたが、4,5ヶ月前から特に悪化した。全身に […]

VOL.217 胃熱などによるニキビ

 ニキビは、皮膚科学では「尋常性痤瘡」といい、毛嚢と皮脂腺の慢性炎症による毛包炎の一種です。漢方では「粉刺」といい、六淫といわれる外的刺激、飲食の不摂生、イライラ・不安などのストレス、ホルモンの失調、心身の疲労、等々により発症するとされています。  Aさんは35才の男性、「額と顔の輪郭に沿って、やや赤みが強いニキビがみられる。脂っこい食事や過食をすると悪化しやすい。ガッシリした体格で、よく運動もしているが、コレステロール値は高めである。身体の冷えは無く、むしろ暑がり、排便は2日に1回程度。」との […]