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元気堂の漢方薬通信

VOL.116 脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎の原因として、西洋医学では、皮脂分泌の異常に真菌が関わったもの、皮脂中の過酸化脂質による刺激、ビタミン欠乏、アルコール、ストレス、糖尿病、肝疾患などが挙げられていますが、原因が多岐にわたり、ハッキリしていません。そのため、漢方相談にみえる患者さんも多くみられます。

Aさんは、40代の女性。「1年ほど前から、顔に淡紅色の赤み、軽微な痒みと鱗屑がみられる。顴部、頬部、顎などに多い。疲れや月経前、飲酒などにより悪化しやすい。肩こり、腰痛などもあり、時々、月経不順となる。ストレスも多い。便秘と軟便を繰り返す。」とのこと。

患部症状や部位、全身症状から、肝鬱化火と血虚風燥を兼ねていると考え、丹梔逍遙散と当帰飲子を服用していただきました。
皮膚のダメージの改善と体力の回復のため瓊玉膏も併用しました。二週間ほどで効果がみられ、現在も服用中ですが、経過は順調なようです。

漢方では、脂漏性皮膚炎を、患部の色、形、好発部位、悪化条件、随伴症状などから、「風熱証」「風湿証」「湿熱証」「燥熱証」「血熱証」「気血両虚証」「血虚風燥証」「陰虚証」「肝気鬱結証」「肝火上炎証」「血瘀証」等々のパターンに分類し、更に症状、体質を分析して、治療方針を決定します。

皮膚疾患全般に言えることですが、患部症状をよく観察し、漢方的に分析して、処方を決定することが治療の早道となります。

VOL.83 不妊 ~その3~

漢方理論において、妊娠とは、子宮等だけではなく、肝・心・脾・肺・腎の五臓や衝脈・任脈などの共同作業によるものであり、中でも最も重要な臓腑は腎です。腎には成長発育、生殖の源となる基本物質が蓄えられていて、これを腎精と呼んでいます。腎精が不足すると生殖機能の低下、不妊、流産しやすい、月経不調、閉経が早まる、ホルモン分泌の異常、老化の早期化などが起こりやすくなると考えられています。そのため、漢方の不妊治療において、腎精を充実させることは必須です。 「35歳の女性。結婚して6年になるが、子供ができない。 […]

VOL.102 夜尿症

夜尿症は、漢方では「小児遺尿」ともよばれ、3歳以上の小児が睡眠中に1回から数回、 無意識に排尿し、目覚めた後で気づくことを言います。 一般的には「おねしょ」と言ったほうがわかりやすいですね。 Mちゃんは4才の女の子、「比較的寒いときや、幼稚園で嫌なことがあったりすると夜尿が続く。日中も頻尿になり、今行ったと思ったら、すぐに行きたくなる。心配性、怒りっぽい、暑がりで寒がり、頭に汗をかきやすい。夜泣きすることもある。普段から体温がやや低め。食欲や便通にムラがある。」といった症状でした。 心神失養と腎 […]

VOL.218  月経期間が長い方の不妊

 不妊の漢方相談では、月経の状態を詳しくお聞きします。なかには、月経期間が長かったり、経血の量が多かったり、排卵期などの月経期以外に出血があったりと、出血傾向になる方もいらっしゃいます。 「33歳、結婚して2年。月経周期は30~38日と長めで、月経期間は10日間。2~3日目は、量が多めで血塊が混じる。月経痛は、断続的で仕事終わりなどのホッとしたときに痛みが増す。5日目からは、量が少なくなるが10日目まで続く。月経前は、胸が張りイライラしやすくなる。お仕事のストレスが大きい。首や肩が凝りやすく、立 […]

VOL.77 養生と五難

2008年最後の漢方薬通信ですので、いつもと少しちがう話題にしてみましょう。 漢方の重要な古典の一つに唐の時代に著された「千金方」があります。「人命は千金より貴い」ことからこの書名がつけられたといわれています。 その中に、中国の著名な養生学者・けい康の言葉が引用されています。 「養生する上で、五つの難点がある。名誉と利益への執着を捨てられないのが、第一の難点。感情のコントロールがうまくできないのが、第二の難点。歌舞音曲や色欲に溺れるのが、第三の難点。美食への執着を断てないのが、第四の難点。生命活 […]