元気堂の漢方薬通信
VOL.40 長引く咳
例年よりも寒さの厳しい中、風邪をひいている方も多くみられます。中でも咳が続いていて、なかなか抜けない方が目立ちます。漢方では咳嗽を急性のものは外感、つまり身体に余分なものが侵入し、まだ体表面に病があるものとし、一方慢性のものは、五臓六腑に病が侵入したものと考えます。
慢性の咳嗽に関係する臓腑は、主に肺・脾・腎・肝であり、口渇や痰の有無、痰の状態、疲労倦怠感、汗、食欲、便通などの状態から治療法を決定していきます。倦怠感が強く、過労により悪化する「気虚」、冷えが原因の「陽虚」、肺の乾燥による「陰虚」、水液代謝の失調による「痰飲」、口渇が激しい「肺熱」、ストレスの影響も強い「肝気鬱結」などのパターンに分類し、さらに詳細に弁証した上、薬方を決定します。
「63歳の女性、一ヶ月半もの間咳が続いている。痰は少量で黄色みがかっている。身体がだるく食欲も少し低下している。朝起きると喉が痛く、声が枯れている。夕方になると喉が乾く。咳は一日中出るが布団に入ると激しくなる。咳が激しいと尿を漏らしてしまう。」との事。
「気虚」と「陰虚」が一緒になった「気陰両虚」と判断し、味麦益気湯(みばくえっきとう)を服用していただきました。「10日ほどで咳も止まり、体力も回復してきました。」とうれしいお電話を頂戴しました。