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元気堂の漢方薬通信

VOL.204 感染症予防と漢方

漢方の聖典といわれる《黄帝内経》には、

次のように記されています。
「邪の湊まる所、其の気必ず虚す。」

「邪の在る所、皆不足を為す。」

漢方では、病気が発生したり、悪化したりするかどうかは、

正気と邪気の相互関係によるものと考えています。

正気は、ここでは人体の抗病能力と回復能力を指し、

気、血、津液、精などの総称です。

邪気はウィルスや細菌などをはじめとする様々な発病要因のことをいいます。
ここで重要なことは、発病の決定的な要因は、

邪気の存在よりも、人体の正気の強弱であることです。

人体の正気が強壮で抵抗力が強ければ、病邪は侵入しにくく、

侵入しても正気に除去され、発病しません。

一方、人体の正気が虚弱で無力であれば、

邪気は虚が生じたところに侵入し、人体の臓腑経絡機能を乱れさせ、

疾病を発生させます。

ウィルスや細菌などの予防には、

気、血、津液、精などの正気を充実させることが大切です。

漢方では、これを扶正といいます。

個々の体質から漢方的に判断し、その方の不足しているものを補うことが必要で、

特に「衛気」という身体を防御する働きの気を充実させることが重要になります。

代表的な生薬としては、黄耆や人参などを用います。

感染予防には、手洗い、うがい、マスク、十分な睡眠と栄養が大切ですが、

それに加えて、体質に合わせた漢方薬で、正気の充実をすることも有効です。

VOL.158 不眠症

漢方では不眠症を“不寐”“失眠”“不得眠”“不得臥”“目不瞑”などとも称し、日常的に正常な睡眠が得られないという症状のことをいいます。 不眠には、症状の軽重があり、軽度の場合は、「入眠困難」「睡眠中に覚醒しやすい」「一旦目を覚ますと再度眠ることができない」「眠ったり目を覚ましたりを繰り返す」などの症状がみられます。また、重篤な場合は、「一晩中一睡もできない」こともあります。 Aさんは五十代の男性。「五、六年前に、仕事のストレスから、寝つきが悪くなり、夜中に何回も目が覚める。疲れやすく、物事に意欲 […]

VOL.119 更年期障害4

腎臓は、血液からの老廃物や余分な水分を濾過し尿として排泄する器官ですが、漢方でいう「腎」とは、そのような働きに加えて、ホルモンの要であると考えられています。 更年期障害は、漢方では経断前後諸症などと称し、閉経前後に腎精(ホルモンと考えるとわかりやすいです。)が急速に減少することにより、身体のバランスがくずれて発症します。 そして、腎精の不足が、精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などにも影響を及ぼすと考えられています。 腎精の消耗は閉経だけで […]

VOL.96 生理痛~その4~

23歳の女性。 「月経の前半に、下腹が絞られるような激しい痛みを生じる。初日が特にひどい。寒さや冷えで痛みが悪化し、温めると軽減する。月経周期は31日前後で安定。月経前に乳房が脹って痛い。手足が冷えて寒がり。冬にはシモヤケができやすい。髪に潤いが無く、唇が荒れやすい。」とのお話。 『陽虚証』と『血虚証』を兼ねていると考え、「温経湯」と「安中散」を服用していただきました。 2ヶ月ほどで生理痛をほとんど感じなくなり、顔色も良く元気そうです。 生理痛は、漢方では、「経行腹痛」「痛経」等ともいい、比較的 […]

VOL.89 耳鳴

耳鳴とは、実際には音がしていないのにも関わらず、何かが聞こえるように感じる現象をいいます。 単側耳に起きる場合もあるし、両側耳に発症する場合もあります。 44才男性「両側耳に発症する耳鳴。左が特にひどい。8ヶ月程前に過労とストレスが多かったときにキーンという音の耳鳴が発症し、仕事上、建築の現場など騒音の大きなところに行くことが多いため、さらに悪化した。また、ストレスのため飲酒過多気味。 現在は、蝉の鳴くような音で側頭部の頭重や頭痛を伴う。起床時と疲労時に悪化する。イライラや肩こりがあり、夜中に目 […]