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元気堂の漢方薬通信

VOL.193 過敏性腸症候群(IBS)の漢方治療

日本消化器病学会ガイドラインによると、過敏性腸症候群(IBS)は、「お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。」と記載されています。
食べ物を消化・吸収し、不要なものを便として体の外に排泄するための腸の収縮運動や知覚機能は、脳と腸の間の情報交換により制御されています。この情報交換の信号が、過敏に強くなってしまうと、過敏性腸症候群(IBS)を引き起こします。

「34才のA子さん。数ヶ月前から、下痢や軟便が続いている。ストレスが多く、頭痛を伴うことも多い。お腹が張り、ガスが溜まりやすい。寒がりで手足が冷える。時々、目眩や立ちくらみがする。お腹の調子は、ストレスと冷えで悪化しやすい。」とのこと。

脾腎陽虚と肝気犯脾を兼ねていると考え、真武湯と逍遙散を服用していただくことにしました。下痢などの症状は、1ヶ月ほどで激減し、現在は、ほとんど無くなりました。顔色も良く、お元気そうです。

漢方では、肝の疏泄、脾胃の昇降、腎の固摂などをポイントに、過敏性腸症候群(IBS)の症状を分析し、不調の原因を探っていきます。「肝気犯脾」「脾虚肝乗」「脾胃不和」「脾腎陽虚」「大腸気滞」・・・等々のパターンに分類し、さらに、検討して、その方の症状や体質に合った漢方薬を決定します。
他の疾患同様、きちんと漢方的に分類し、処方を決定することが治療の早道となります。

VOL.95 帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹は、子供の時にかかった水ぼうそうの原因ウイルスが神経の中 に潜んでいて、何年かたってから何かのきっかけで再び表に現れてくると 起こるものです。 疲れたり、体の抵抗力が落ちているときに発症します。 帯状疱疹にかかると痛みと小さな水ぶくれが現れます。 皮膚の症状や痛み は普通そのうちに治りますが、皮膚の症状が消えた後にも痛みだけが残り、その痛みがいつまでも続く場合があります。 これを「帯状疱疹後神経痛」といいます。 特に60才以上の方に、帯状疱疹後神経痛が残りやすいようです。 80才のA子さ […]

VOL.108 更年期障害3

更年期障害は、漢方では経断前後諸症などと称し、閉経前後に腎精(ホルモンと考えるとわかりやすいです。)が急速に減少することにより、精神活動の要である「心」、自律神経と関わりの深い「肝」、決断力や快適な睡眠を生み出す「胆」などに影響を及ぼすことによって起こる身体のバランスの失調と考えています。腎精の消耗は閉経だけでなく、過労や不摂生などでもおこりますので、年齢に関係なく更年期のような症状がおこることもあります。 「50才の女性、月経周期が不安定になりだしてから、耳鳴、偏頭痛、焦燥感がみられるようにな […]

VOL.172 冷えが強いために起こる便秘

Aさんは、22才。知人の薬局さんからのご紹介。 「中学生の頃から少しずつ便秘になり始め、昨年秋から特にひどくなり、時には7日に1回くらいしか排便がない。今まで、麻子仁丸や桂枝加芍薬大黄湯などを服用したことがあるが、腹痛や下痢を発症する。四肢や腹部などが冷えやすく、便秘も冬季に悪化する。ストレスや生理前もひどくなりやすい。お腹が張ることが多い。風邪を引きやすい。」とのこと。陽気の不足と脾虚肝乗を兼ねた便秘と考え、建理湯を服用していただくことにしました。20日ほどして、来局された時には「毎日、便通が […]

VOL.37 不妊

『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後3年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに3年以上妊娠しないこと」を不妊(漢方では不孕(ふよう)といいます。)としています。前者を「原発性不孕」後者を「継発性不孕」といいます。 「26歳の主婦の方、結婚後3年ほど経つが子供ができない。月経周期は35日くらい。月経時に下腹部や乳房が張って痛い。経血に塊があることがある。イライラや不安感も強く、周囲に子供のことを聞かれるのが苦痛である。」とのこと。肝気鬱結証 […]