元気堂の漢方薬通信
VOL.131 蕁麻疹 ~その2~
35才のA子さん、「1ヶ月前より、痒みの強い皮疹が出現し、消長を繰り返す。皮疹は月経前や飲酒時に特に悪化する。ここ数ヶ月多忙で、ストレスも多い。疲れているのに眠りが浅く、夜中に目が覚める。月経不調、足の冷え、肩こり等がみられ、やや食欲不振で軟便気味。」と少し疲れた表情で話して下さいました。ストレスが原因の肝気鬱結・肝気犯脾と判断し、八味逍遥散を服用して頂く事にしました。2週間後、不思議そうな顔で御来局。「あれから、蕁麻疹が出ません。」との事。その後、しばらく服用して頂き、蕁麻疹はすっかり良くなりました。
蕁麻疹というと、食物や薬に反応したりするケースを想像しがちですが、西洋医学でも「非アレルギー性、慢性、特発性の蕁麻疹が全体の約6割を占める。」との事です。
漢方では、蕁麻疹を、皮膚の状態や悪化条件、好転条件、随伴症状などから、外部刺激による「風寒証」「風熱証」「中風証」、食物や飲酒などの影響による「脾胃湿熱証」「肝胆湿熱証」「寒湿困脾証」「脾胃虚寒証」、ストレスなどによる「肝気鬱結証」「肝火上炎証」、過労などによる「気血両虚証」「血虚生風証」、血液の流れなどの不調による「血瘀証」「血熱証」「衝任失調証」などに分類し、更に詳細に分析して、処方を決定します。最近では、やはり、食物などよりもストレスが原因の方が多いように感じています。すべての疾患にいえる事ですが、患者さんの主症状や悪化条件、体質などを分析し、漢方の診断基準に則り、きちんと判別していく事が治療の早道です。