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元気堂の漢方薬通信
  • アトピー性皮膚炎

VOL.97 アトピー性皮膚炎

「アトピー性皮膚炎」は、当薬局でも御相談が多い疾患の一つです。

漢方では、「浸淫瘡」「血風瘡」「四弯風」「旋耳瘡」「異位性皮膚炎」「遺伝過敏性皮炎」「変位性皮膚炎」等と称しますが、発生頻度は中国などより日本の方が高いようです。

「33歳の男性。幼少期よりアトピー性皮膚炎。皮膚暗褐色~濃紅色で乾燥、痒みが甚だしい。痒みのため夜中に目が覚めることがある。患部は肥厚や落屑、皹裂などがみられる。夕刻や入浴後、疲労、睡眠不足、発汗などで悪化する。夕刻になると頬や手足が火照り喉が乾いてくる。盗汗をかきやすい。」との事でした。

患部症状や病歴から『陰虚火旺』タイプと判断し、知柏地黄丸を服用してもらうことにして、スキンケアの指導もさせていただきました。皮膚のダメージを改善するため瓊玉膏も併用しました。

30日ほどで効果が見え始め、一年ほどで痒みもなく、皮膚もカサカサしなくなりました。現在は瓊玉膏のみを服用中で、表情も明るくなり、元気そうです。

漢方的な分類では、幼児期には、消化機能が未熟なために生じる『脾虚』タイプが多く見られますが、中高生~成人になるとストレスによって悪化する『肝気鬱結』タイプや『肝火上炎』タイプ、そして、今回のような、アトピー性皮膚炎の長期化とステロイド軟膏の多用により生じた『陰虚火旺』タイプが多く見られます。
いたずらにステロイド軟膏を悪者にするのは、考えものですが、極端に強いものの多用や長期連用は心配ですね。

漢方では、アトピー性皮膚炎は、その患部症状や体質などから、この他にも多くのパターンに分けられます。
当薬局では、パターンにあわせて、約八十種類の処方を使い分けています。皮膚疾患全般に言えることですが、患部の状態をよく観察して漢方薬を決定することが大切であり、必ずご本人が来局される必要がある疾患の一つです。

VOL.147 膝の痛み

膝は、関節の自由度が大きいにも拘わらず、体重の負荷が掛かりやすいため、損傷しやすい部位の一つです。痛みとともに、可動制限や腫れ、水が溜まるなどの症状を伴うことも多くみられます。 「76歳のA子さん、数年前から膝のやや内側が痛む。膝の裏の引きつりを伴うことが多い。夕方になると足の裏が浮腫んだような感覚になる。痛みは、冷えや疲労で悪化しやすい。やや疲れやすく、時に腰痛もあり。食欲正常で温かいものを好む。血糖値が少し高い。」とのこと。  腎陽虚水泛証に陰陽両虚証を兼ねていると考え、牛車腎気丸と桂枝加芍 […]

漢方薬通信VOL.227 ストレスで起こる蕁麻疹

 蕁麻疹は、漢方では、「風隠疹」「隠疹」「風疹塊」などと称し、歴代の文献では「風疹」「癮疹」「風瘙癮疹」「風㾦癗」「疫疙瘩」「風綹疹」等々、別名が多く見られます。痒みを伴う一過性の限局性膨疹で、扁平に隆起した紅斑様の皮膚病変を特徴とします。  漢方では、蕁麻疹を、皮膚の状態や悪化条件、好転条件、随伴症状などから、外部刺激による「風寒証」「風熱証」「中風証」、食物や飲酒などの影響による「脾胃湿熱証」「肝胆湿熱証」「寒湿困脾証」「脾胃虚寒証」「腸胃積熱証」、ストレスなどによる「肝気鬱結証」「肝火上炎 […]

VOL.86 頭痛 ~その3~

頭痛とは臨床上、様々な疾患でよく見られる自覚症状の一種です。 頭部は人体の最高部に位置し、臓腑、清陽の気は頭に上がり、手足の三陽経及び督脉が巓頂部に会しています。 また、頭部は肝腎の蔵する精血と脾胃の運化による水穀の精微により、絶えず濡養されています。 このように多くの臓腑、経絡、器官が関連しているため、頭痛を引き起こす原因は多岐にわたります。 気候や環境の影響による「風寒」「風熱」「風湿」「暑湿」「実寒」、ストレスによる「肝気鬱結」「肝火上炎」、水分代謝が悪いために生じる「痰飲」、暴飲暴食など […]

VOL.180 ストレスによる蕁麻疹

蕁麻疹というと、一般に食べ物や薬に対するアレルギー反応として起こると思われることが多いようですが、その他、感染、運動や暑さ、寒さ、日光といった刺激などによっても起こります。また、慢性の蕁麻疹の中には、心身のストレスによるものも少なくありません。 38才のA子さん、「1ヶ月程前から、痒みの強い皮疹が出現し、消長を繰り返す。皮疹は月経前やストレス時などに悪化する。ここ数ヶ月多忙で、ストレスが多く、不安感とイライラが続いている。疲れているのに眠りが浅く、夜中に目が覚める。月経不調で、肩こりがひどく、お […]