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元気堂の漢方薬通信

VOL.48 肌荒れ

今年は冷夏のため、日焼けによるトラブルの御相談はほとんどありませんが、「肌荒れ」はそれとは無関係。一年を通してみられる病症です。

皮膚は常に外気にさらされているため、気候の影響を強く受けます。
春季に多くみられるのが、あちこちに痒みや発疹が出る「風熱」タイプ。
夏季に多いのが、皮脂が浮いてテカテカしてくる「湿熱」タイプ。
秋冬になると、カサカサとした乾燥や粉をふく感じの「血虚」タイプや「陰虚」タイプが主体になります。ただ昨今は、エアコン等のため、単純にはいきませんが。

その他、気候とは関係なく、ストレスや血行不良などによる「血熱」タイプや「血オ」タイプ等があります。皮膚の状態をよく観察して漢方薬を決定することが大切なため、必ずご本人が来局される必要があります。

Tさんは24才の女性。「顔全体が肌荒れし、くすんだように黒っぽい。目の回りが特に黒ずんでいる。唇の色も悪い。生理前になると肌荒れが悪化する。生理痛が激しく、生理に血塊がある。」といった症状でした。

「血オ」タイプと判断し、腸癰湯を服用して頂きました。皮膚に栄養を与える瓊玉膏も併用しました。三ヶ月ほどすると、生理痛が楽になるとともに顔の肌荒れ、黒ずみが改善され、表情も明るくなりました。

「皮膚は内臓の鏡」ともいいます。漢方薬を上手に使って、きれいなお肌を手に入れましょう。

VOL.163 膝の痛み ~その2~

膝は、関節の自由度が大きく、かつ不安定関節であるにも拘わらず、体重の負荷が掛かりやすいため、損傷しやすい部位の一つです。痛みとともに、可動制限や腫れ、水が溜まるなどの症状を伴うことも多くみられます。 「74歳のA子さん、半年程前から膝のやや内側やふくらはぎなどが痛む。痛みは引きつるような痛みが多く、時折刺すように痛むこともある。膝裏が引きつることもある。普段から、下半身が重だるく、疲れやすい。痛みは、冷えや疲労で悪化しやすい。食欲正常で温かいものを好む。」とのことでした。 気血両虚、肝腎虚損に瘀 […]

漢方薬通信VOL.220 アトピー性皮膚炎の仕組みと漢方治療

 現代医学では、アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が低下しており、外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなり、炎症を引き起こすといわれています。また、皮膚から水分が失われやすくなるため、乾燥しやすくなります。さらに、神経が皮膚の表面に伸びてくるため痒みを感じやすい状態となり、掻くことにより、ますますバリア機能が低下します。また、経皮感作が進みやすくなり、一段とアレルギー体質が強くなってしまいます。  これを漢方的に考察してみると、皮膚のバリア機能の低下は「衛気虚」、乾燥や鱗屑は「血や […]

VOL.181 不妊と卵巣年齢

漢方では、不妊のことを「不孕(ふよう)」といいます。不孕の漢方相談にみえる方の多くは、不妊クリニックでの治療も行っています。なかには、「卵巣年齢は○才だそうです。」と話される方もいらっしゃいます。卵巣年齢の指標になるのはAMH(抗ミュラーホルモン)といって、卵巣の中に残っている卵子の数の目安となる数値です。卵子の質の指標ではないので、妊娠率と一致するものではありません。 「35歳、結婚して5年の主婦の方。顕微授精を2回行ったが妊娠に至らず、卵巣年齢は45歳と言われた。」すっかり落ち込んで、「私に […]

VOL.143 アトピー性皮膚炎~その19~

漢方治療において、「五臓六腑」という概念は大変重要です。「五臓」には、肝・心・脾・肺・腎があり、相生・相克といった関係を保ち、人体のバランスをとっています。アトピー性皮膚炎は、五臓すべてと関連しているのですが、漢方では、「脾は肌肉を主る。」といい、脾と皮膚の状態は特に重要な関係にあるとされています。脾の働きが低下すると、皮膚を滋養する「血」や「津液」、外からの刺激を防御する「気」などの生成が不足します。また、身体の水分代謝も悪くなり、ジクジクとした滲出液がみられることも  「28才のAさん。幼少 […]