元気堂の漢方薬通信
VOL.35 夏かぜ
毎年、今頃の時季になると、次のような感冒の患者さんが多くみられます。 「悪寒や発熱は軽度だが、身体が重だるく、頭も重い。下痢や吐き気などがあり、食欲が減少している。」典型的な夏カゼですね。
夏の感冒は湿度が高く、(漢方では湿邪といいます。)冷房によって発汗も不調になりがちで、また、暑さ等により体力も低下した状態で生じています。また、冷たい物を摂りすぎている人もいるでしょう。
西洋医学のカゼ薬や冬季に使われる葛根湯、麻黄湯などは、夏季では発汗が過多となりその後冷えてしまい、反対に悪化させてしまうこともあります。夏カゼが治りにくい原因の一つといえます。
夏カゼを治す手段として、漢方では、まず身体の重だるさが主の場合、身体の余分な湿気を除きながら感冒を追い払う方法を用います。カッ香正気散や柴平湯などを使います。
冷房や生冷物の過食により身体が冷えているときは、湿気と冷えを追い出してカゼの治療をする事になります。五積散、苓姜朮甘湯、真武湯などの適応です。
次に、食欲不振や体力の低下が主の場合、体力を回復させながら感冒を追い出します。補中益気湯や清暑益気湯などを用います。また、体力の低下や発汗過多で夏やせや夏バテもみられる場合は、味麦益気湯や生脈散の出番です。
漢方では、四季に伴う環境の変化によってもカゼの治療法が変わってきます。症状をきちんと分析して、処方を選ぶことが重要です。