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元気堂の漢方薬通信
  • アトピー性皮膚炎

VOL.133 アトピー性皮膚炎  ~その17~

漢方では、「標」と「本」という考え方があります。「標」とは、外に現れている症状を指し、「本」とは、疾病の本質を指します。「急なればその標を治す」、「緩なればその本を治す」といい、症状が重いときは、それに対処し、落ち着いてきたら、根本治療をすることを説いています。さらに、「病気を治すには必ずその本質を治さなくてはならない。」という意味の「治病求本」という、原則を掲げています。
 43才の会社員の男性。「仕事での過労が続いた所へ、カゼをひき体調をこわした後、落ち着いていたアトピー性皮膚炎が再発した。痒みが強く、紅斑、鱗屑、痂皮が上半身を中心にみられる。過労や睡眠不足、ストレス、入眠時、入浴後などで悪化しやすく、入浴中は痒くならない。」といった状態でした。過労による体力の低下を「本」、皮膚に現れている症状を「標」と考え、体力を回復する八珍湯を基本にして、熱や炎症を抑える黄連解毒湯などを時々併用しました。3ヶ月ほどでほぼ症状は落ち着き、以前の肌に戻ることができました。現在は、体質改善を目的に服用中です。
 アトピー性皮膚炎は、外部環境、ストレス、疲労、食事、ホルモンバランスや月経など、様々なことに影響されやすいため、なかなか手強い疾患です。したがって、漢方でも、しっかりと症状、体質を把握し、綿密な作戦を立て、漢方的な治療方針を決定することが大切です。他の疾患も同様ですが、漢方では、アトピー性皮膚炎の治療方針は一人一人異なります。きちんと判別していくことが、治療の早道です。

VOL.205 ストレスと漢方

新型コロナウィルス感染症の予防や対策のため、生活パターンや環境が急速に変化し、不安や憂鬱な気持ちで過ごされている方が少なくないと思います。漢方では、怒(怒り)・喜(喜び)・憂(憂い)・思(思い)・悲(悲しみ)・恐(恐れ)・驚(驚き)という感情の変化を七情といいます。 七情は、もともと外界事物に対する自然な感情表現であり、通常は発病因子にはなりません。しかし、強烈な精神的ストレスを受けたり、長期的に精神的刺激を受け続けると、生理的に調節できる許容範囲を超えてしまい、臓腑の機能や気血の循環などが不調 […]

VOL.44 にきび

Sさんは23才の女性。「十代の頃はあまりニキビに縁がなかったのに、最近とっても気になる。月経前や旅行、チョコレートなどの摂取で悪化する。月経も不順で手足が冷え、肩こり。最近は寝つきも悪い。」との事。なるほど、顎、頬、額に暗紅色の丘疹がみられます。ストレスなどが原因の「肝気鬱結」と判断し、逍遙散を服用して頂きました。3ヶ月ほどで月経も安定し、ニキビもきれいになりました。 Y君は25才のコンピュータ関係の仕事をしている男性。「過労や食事が偏ると悪化する。汗かきでお腹をこわしやすい。高校生の頃、ニキビ […]

VOL.90 不妊 ~その5~

『中医症状鑑別診断学』によると、「妊娠適齢な女性が避妊を行わずに、結婚後2年以上妊娠しないこと」または、「過去に妊娠歴があって避妊せずに2年以上妊娠しないこと」を不妊(漢方では不孕(ふよう)といいます。)としています。 前者を「原発性不孕」後者を「継発性不孕」といいます。 「42歳、主婦の方、結婚後2年ほど経つが子供ができない。月経周期は26~30日。月経前になると下腹部や乳房が張って痛い、イライラしやすい。月経の量は少ないのに長く続く。手足が冷え、夜間尿がある。」とのこと。 腎陽虚証に肝気鬱結 […]

VOL.75 生理痛 ~その3~

21歳の女性。「月経の直前から3日目にかけて、下腹の中心から側腹に刺されるような激しい痛みを生じる。寒さや冷えで痛みが悪化し、温めると軽減する。また、夜間は痛みが激しい。月経周期は28日前後で安定。月経前に乳房が脹って痛い。手足が冷える。食欲はあるが疲れやすい。風邪もひきやすい。肩や首が凝る。子宮筋腫がある。」とのお話。 気滞血お証と実寒証を兼ねていると考え、「折衝飲」と「安中散」を服用していただきました。2ヶ月ほどで生理痛をほとんど感じなくなり、顔色も良く元気そうです。現在は冷えと筋腫を目標に […]